福岡市屋台公募、関連文書公開で市情報公開条例違反
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市情報公開条例の理解不足を露呈
福岡市の屋台公募における透明性に疑問符がついた。市は、記者が行った屋台公募に関する情報公開請求に対し、公文書一部公開決定の通知(以下、決定通知)を放置。記者からの指摘を受けて、公開決定が行われたとする1月6日から3営業日が過ぎた1月13日に公文書の一部公開を行った。決定通知の未実施について市担当課は“業務の多忙”を理由としているが、福岡市情報公開条例は、公開期限の延長も認めており、その場合も請求者への通知を速やかに実施するよう定めている。
市情報公開条例第11条は、決定通知について、「速やかに、その旨並びに公開を実施する日時及び場所その他規則で定める事項を書面により通知しなければならない」と定めている。今回の公開請求に対応したのは、屋台公募の担当である経済観光文化局国際経済・コンテンツ部にぎわい振興課。同課長は、決定通知の未実施についての質問に対し、以下の説明を文書で行った。
「本年1月6日に公開決定等に係る決裁を完了しましたが、その後、速やかに準備し、情報公開室に公開決定等に係る通知書及び公開する公文書を提出すべきところ、屋台公募に関する事務や、他の公文書公開請求が重なっていたなど業務が多忙だったことから、公開する対象公文書(128枚)の準備が遅くなり、情報公開室への提出が本年1月12日になってしまいました」(画像参照)
この言い分は条例上、まったくもって正当な理由にならない。
「事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間(公開決定等の期限)を公開請求があった日の翌日から起算して20日を限度として延長することができる。この場合において、実施機関は、公開請求者に対し、速やかに、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない」(福岡市情報公開条例第12条2項)繰り返しになるが、問題となっているのは、決定通知の未実施である。
条例は、公開対象となる文書が大量で準備に時間がかかる場合は、期限の延長を認めている。ただし、請求者に対する通知に関して、条例は“速やかに”行うことを定めているのだ。他にも報道機関からの情報公開請求に対して、多忙や文書の量を理由に公開期限を延長するといったケースが頻発しており、条例の恣意的運用も目に余るが、市側の都合で期限を延長し、それを請求者に一切通知しないということは条例に反する行為。決定通知の未実施について説明を求めた記者に対し、“業務の多忙”を理由としたにぎわい振興課は、市情報公開条例の“無知”を露呈したばかりでなく、情報公開に際し、関連する条例や規則をあらためて確認しようとしない“不誠実かつ無責任な姿勢”をあらわにしたといえる。なお、情報公開を担当する市情報公開室にも確認したが、市情報公開条例に罰則規定はない。
以上のように、情報公開について“無知、不誠実、無責任”なにぎわい振興課が事務局として行った屋台公募が、どのようなものだったのか。次稿から本題に入っていくが、今回の一件は、その背景を理解するうえで重要な事象といえるだろう。
【山下 康太】
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