2024年11月20日( 水 )

福岡市屋台公募、市HPの議事録で消去された「約2ページ」を公開

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見やすさへの配慮でまるごと消去?

yatai 昨秋、福岡市が実施した屋台営業候補者の公募における第1回選定委員会の議事録について、福岡市が市民向けにホームページ(HP)で公開したものと、市民である記者の情報公開請求を受けて開示したもので、公開内容に差があることが判明。現在営業中の屋台12軒を含む72人(応募者の3分の2)が書類審査で落選したことについて疑問の声があがるなか、同公募の透明性に大きな疑問符が付いた。

 市HP公開の議事録(一般議事録)は非開示部分を消去。一方、情報公開請求で公開した議事録(情報公開議事録)は非開示部分を黒塗りとし、分量にして約8ページ分の差がつく結果となった。屋台公募を担当し、議事録の公開を行った市経済観光文化局のにぎわい振興課は、取材に対し、消去で非開示とした理由について「市のホームページの分は、たくさんの市民の方が見られるため、見やすいように配慮している」(担当課長)と説明。公開内容の違いについては「確認して回答する」としている。

 個人情報を除き、市民への開示・非開示の判断基準に違いがあること自体が不適切。福岡市は、選定委員会の議事録における非開示の対象を「審査に関する内容」や「法人等事業情報」としているが、とくに「審査に関する内容」については、一般議事録で消去され、情報公開議事録では公開された箇所が多かった。そのうち複数のページにまたがるものが2つ。1つは前回の記事で指摘した書類審査における代筆をめぐる議論。もう1つは、選定された屋台営業候補者が辞退した場合の繰り上げ合格に関する議論だ。

 後者について、一般議事録は「【以降,審査に関する内容のため,非公開】」(16ページ)と表記し、まるごと消去、情報公開議事録では、委員の発言中4カ所(計20文字程度)を除いて公開された。

 一般議事録で非開示とされ消去されたのは、以下の画像の赤線で囲んだ部分

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※クリックで拡大

 消去された場合、非開示情報がどれくらいの量なのか推し量ることはできない。“見やすさへの配慮”で、本来、公開すべき内容を消去したというのなら、なおさら大問題だ。福岡市の情報公開制度は、「市民の監視と参加の下にある公正で開かれた市政」(市情報公開条例第1条)の推進を目的に定めているが、一部の職員によって透明性の濃淡が変化している現状は、同制度の形骸化を示している。

【山下 康太】

 

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