福岡市屋台公募、応募者本人も見られない?応募書類
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応募者本人が保有個人情報を開示請求
透明性は皆無に等しくなった。福岡市が昨秋行った屋台営業候補者の公募で、審査された自身の応募書類の開示を求めた応募者に対し、福岡市がすべて非開示としていたことがわかった。NetIB-NEWSに情報を提供した応募者(以下A氏)は、応募書類による第1次審査で落選。自分が提出した応募書類がどのような形で審査されたのかを確認するべく、1月16日、福岡市に保有個人情報の開示を請求した。なお、応募書類については、記者の情報公開請求では非開示となっている。
A氏が開示を求めた個人情報の内容は、以下の3点。
(1)福岡市から屋台選定委員会審査部会に渡された、個人が特定できるような部分を黒塗り、伏せ字等を施して加工した請求者(A氏)の資料
(2)屋台選定委員会審査部会から審査部会委員に渡された、個人が特定できるような部分を黒塗り、伏せ字等を施して加工した請求者(A氏)の資料
(3)屋台選定委員会審査部会委員が採点に使用した、個人が特定できるような部分を黒塗り、伏せ字等を施して加工した請求者(A氏)の資料この請求を受けて、福岡市は1月25日、「対象文書の構成が複雑かつ関係者が複数名おり、できる限り開示するための確認作業(開示・非開示の判断)に時間を要しているため」を理由として、開示決定等の期間を延長。ところが、延長期限を迎えた2月3日、「できる限り開示する」との言葉は一転。(2)のみ、「当該文書が存在しない」としたが、(1)と(3)については、福岡市個人情報保護条例を根拠に、全面非開示の決定をA氏に通知した。
どこまで伏せたのか確認不能
応募書類について、屋台公募を担当した経済観光文化局にぎわい振興課は記者の質問に対し、「屋台選定委員会各委員に、公平・公正に審査いただく観点から、応募者名を伏せた」「特定の場所や位置等が記載されている場合は、たとえば「自宅(●●●●●)」や「中洲で屋台●●を営業中」のように自宅住所、店名のみを伏せた」と回答。一方、第1次審査後に開かれた第2回選定委員会の議事録では、選定委員から、現在営業中の屋台を実際に確認することができなかったという声があがっていた。
事業計画を含む応募書類は個性の固まりと言っても過言ではない。店名や場所名などを伏せても、料理や店構え、応募者の経歴などに個性が現れるはず。ある程度の予備知識があれば、断片的情報から応募者を推測することも可能だろう。選定委員が見て「どこの屋台なのか、わからなかった」という応募書類。担当課のいうように本当に、応募者名、住所、店名のみを伏せたのか。応募者本人が確認できないというのであれば、その真相は闇の中である。
市は、「未確定な情報であり、開示することで確定した情報と誤解されて不当に混乱を生じさせるおそれがある」「開示することで、特定の者に不当に利益を与えるおそれがある」「開示することで、評価基準が推測され、今後の公募業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」を開示しない理由にあげている。繰り返しになるが、開示を求められたのはA氏の応募書類で、開示を求めたのはA氏。A氏は自分が作成した応募書類の控えを所持しており、当然ながら、その内容も熟知している。非開示となったのは、 “福岡市が黒塗り・伏せ字などの加工を施したA氏の応募書類”。これをA氏に公開すると、混乱が生じると言っているのだ。
【山下 康太】
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