人気ラーメン店「一風堂」がマザーズ上場。初値を予想!(後)
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クールジャパン機構が最大20億円を投融資
(株)力の源ホールディングス(HD)の「新規上場申請のための有価証券報告書」によると、主力業態「一風堂」を中心に、国内は126店、海外は12カ国に63店を展開。2016年3月期の売上高は208億円(前期比16.9%増)、営業利益は5.0億円(同284.2%増)、純利益は1.2億円の黒字(前期は2.2億円の赤字)だ。
資本金は9億2,300万円。筆頭株主はシンガポールの投資会社E&RS’ FORCE CREATION PTE.LTD。発行済株式の25.95%を所有する。2位が創業者の河原成美氏で、290.5万株を所有し、所有割合は25.78%。3位は(株)海外需要開拓支援機構の11.80%。
支援機構は、通称「クールジャパン機構」。13年11月に海外進出を目指す企業を資金面から支援するために設立された政府系ファンドだ。14年12月、「一風堂」を展開する力の源HDに対し、欧州や豪州での海外展開のために7億円の出資と13億円の融資枠を設定した。
一風堂は08年にニューヨークに海外1号店を出したが、欧米豪では食文化の違い、出店コストの重さ、人材確保の難しさ、食材の規制がネックとなり、海外店舗は中国や韓国などアジアが中心。機構は欧州に日本食を発信・普及させるために、一風堂に白羽の矢を立てた。
力の源HDは、新規上場にともなって80万株を新規発行し、4億円あまりを調達。調達資金はパリやロンドンの出店費用に充てる。クールジャパン機構は、上場にともない、保有株を売却して投資金を回収する。株式上場は、政府系ファンドの出口戦略に基づくものだ。
初値は1,000円以上か
それでは、力の源HDは、初値はどのくらいになるか。想定価格は1株540円。上場に先立ち、社員を対象にストック・オプションを導入した。株式を上場したとき、1株530円で株式を購入できる権利だ。株価が想定価格の540円なら、530円で購入して市場で売却しても、10円の売却益しか出ない。株価がもっと上昇しないと、ストック・オプションを行使して、株を購入する社員は少ないのではないか。
では、どの程度の株価と推測できるか。上場ラーメンチェーンの株価を見てみよう。
首都圏で低価格の「中華食堂日高屋」を運営する(株)ハイディ日高(埼玉県さいたま市)の17年2月期の売上高は392億円、営業利益46億円の見込み。株価は2,351円、時価総額679億円(2月24日終値)。
福島を本拠にラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する(株)幸楽苑ホールディングス(福島県郡山市)の17年3月期の売上は375億円、営業利益は8,500万円の見込み。株価は1,723円で、時価総額は289億円。力の源HDは、先行する上場ラーメンチェーンに規模では見劣りする。それでも、話題性があり、想定価格が低目に設定されているので、初値はそれなりの上昇が期待できる。3月9日に公開価格が決定する。これが最初の勝負どころ。初値は想定価格の2倍の1,000円台と予想しておこう。
(了)
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