JA全農が回転ずし業界の再編の主役になる!(後)
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コメ卸の神明が仕掛けた元気寿司とカッパの経営統合
回転ずし業界再編の第2ラウンドの主役は、コメ卸大手(株)神明(しんめい)(兵庫県神戸市、非上場)の藤尾益雄社長。家庭でのコメの消費量が減少しているため、外食企業の囲い込みに動く。
神明は2012年6月、うどんやそば店を展開する(株)グルメ杵屋から、傘下で回転ずし「魚べい」などを展開する元気寿司(株)の株式を取得して28.1%の筆頭株主となる。
続いて13年4月、神明はカッパの創業家からカッパ株を取得。カッパ創業家は、ゼンショーの次に神明に身売りしたわけだ。同年11月に株式を買い増して23.1%の筆頭株主となり、神明の藤尾社長がカッパの会長兼社長に就任。カッパと元気寿司の経営統合を進めた。
しかし、カッパ側が猛反発し、経営統合は失敗した。14年10月、神明は保有していたカッパ株を外食大手のコロワイドに売却した。藤尾氏は回転ずし業界の再編に失敗した。だが、藤尾氏は外食企業の囲い込みを諦めていない。神明は15年6月、元気寿司の株式を買い増して子会社に組み入れた。40.5%の株式を保有する筆頭株主となり、藤尾氏は元気寿司の会長に就いた。さらに16年2月、居酒屋大手ワタミ(株)が保有する自己株式の一部を14億円で取得。神明の出資比率は4.1%で第5位の株主となった。
JA全農が狙うのはかっぱ寿司か
これから、回転ずし業界の再編の第3ラウンドが始まる。回転ずしの市場規模は、約6,000億円程度とされる。売上高1位はスシロー(16年9月期1,477億円)、2位が「くら寿司」の(株)くらコーポレーション(16年10月期1,136億円)、3位がゼンショーHD傘下のはま寿司(16年3月期1,010億円)、4位がかっぱ寿司のカッパ・クリエイト(16年3月期803億円)。
かつて業界トップだったカッパは4位に転落。17年3月期は59億円の最終赤字の見込みと、浮上の見通しは立っていない。カッパの経営悪化の理由は、「安かろう悪かろう」で、おいしくなかったことにあるといわれている。かっぱ寿司は食材におカネをかけなかったため、「一人負けした」というわけだ。だが、最大の理由は、経営権が目まぐるしく交代して、一貫した経営を行えなかったことにある。カッパのオーナーは、創業家の徳山一族からゼンショー、神明と転々と変わり、現在はコロワイドの傘下。コロワイドも持て余しており、転売することもあり得る。
コメの直販体制を築くため、回転ずしをターゲットにしたJA全農にとって、かっぱ寿司の買収は狙い目だ。JA全農が、回転ずし業界の再編の主役となる。
(了)
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