2024年12月22日( 日 )

南海トラフへの備え~浜松市沿岸域防潮堤整備事業レポート

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 大手戸建住宅企業の(株)一条工務店(本社:東京都江東区、浜松本社:静岡県浜松市西区、宮地剛代表)のグループは、2012年に浜松市の防潮堤整備のために300億円の寄付を行った。同社は、1978年9月に浜松市で設立された企業だ。寄附された300億円を原資に、同年6月静岡県と浜松市、そして同社グループは、浜名湖から天竜川河口までの約17.5kmにかけての防潮堤を、県が整備することで基本合意した。上記の約17.5kmは、遠州灘に面した風光明媚な海岸線である。

 その後の2013年3月に、浜松商工会議所が同整備事業のために『1社1日100円運動』とする寄付活動を開始した。同会議所の会員、約1万3,500事業所に呼びかけ、17年3月24日現在で12億1,439万円の申し込みがあり、現在も継続中だ。同商工会議所の会員以外の事業所や市民からの寄付も含まれた、いわば『オール浜松』の精神で行われている。

 同防潮堤整備工事は、14年4月に着工。竣工予定は、19年度内とされている。
 室町期の1499(明応7)年9月20日に明応地震、そして江戸期の1707(宝永4)年10月28日に宝永地震、1854(安政元)年12月23日には安政東海地震が発生し、浜松市内の家屋や寺社仏閣などが甚大な被害を受けた史実がある。それらの地震の経験から、浜松の土地に住む人々は、古くから防災への意識が高いという。そして11年3月11日の東日本大地震をきっかけに、防潮堤整備事業を実施する機運が高まった。浜松の人々には、「皆で郷土を守ろう」とする姿勢が鮮明だ。

【河原 清明】

 

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