2024年12月22日( 日 )

目視で数えて水増し?久留米シティプラザ来場者数「53万人」の怪(2)

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来場者数は“目視” カフェ利用者を5倍した数字

 市は一方で地元紙に対し、「カタチの森はカフェを使わない人も来場者に加えるため、約2万3,000人のカフェ利用者を5倍にして算出。5倍の根拠は目視による推計」と発表。市の担当者も地元紙の報道は間違いないことを認めた。

 178億5,000万円の血税を投じて作った公共施設なのに、来場者数のカウントが目視を基にした推計のみとは、いったいどういうことか。行政側が発表した数字はまったく信憑性がなく、インチキであるとさえいえる。久留米シティプラザの本当の実力は、「カタチの森」の数字を引いた約41万人。多めに見積もったとしても、同施設のカフェ利用者約2万3,000人を加えた43万人といったところではなかろうか。

 イベントが行われている日以外は、多くの来場者が訪れている様子は見られない。その実態をよく知る市民の目には、市が公表した数字は水増ししたお粗末なものにしか映らないだろう。150万都市である福岡市の福岡国際会議場が年間45万人、福岡国際センターが47万人である。久留米シティプラザがこれらの施設よりも動員数が多いこと自体、そもそもおかしなことなのだ。

公務員の責任逃れ 言い訳を作らせた?!

 初年度は53万4,358人であったが、年度で区切ったことで実際の稼働日数は11カ月。「1カ月足りないから残念ながら60万人には足りなかった」という言い訳を作ることができた。

 開業にあたって商業スペースにテナントを誘致する際、60万人を集客することを売り文句にしており、簡単に「集客できなくてすいません」という話にはできないからだろう。実際、全国各地の民間の商業施設では、出店前の営業担当者の売り文句と実際の集客が違い、集客不足が原因でトラブルになるケースは少なくない。最終的には「出店した企業が悪い」という話となり、違約金を支払ってでも退去するケースは枚挙にいとまがない。

 今回は、第三セクターの(株)ハイマート久留米がテナントの誘致を行った。三セクが誘致に関わったことで、入居したテナント業者も一定の信用があったことは否めないだろう。しかし、集客に苦戦している施設の建て直しは容易ではない。

 昨年末に(株)梅の花の「六角庵」が撤退した後も撤退を噂されるテナントがある。よほどのテコ入れがなければ、将来的にテナントが歯抜け状態になってもおかしくはない。「目視した数字」と称して来場者数を水増しし、現状を糊塗せざるを得ないほど、今後の集客増の見通しは暗い。

(つづく)
【矢野 寛之】

 
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