かつての業界盟主も失墜か キューサイ記者座談会(中)
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キューサイ藤野前社長の評判はいかに
C 現在、青汁の市場はアサヒ緑健が小売売上では実質トップです。一方のキューサイは、270億円ある売上高のうち、4分の1強が青汁だといわれて、60~80億円弱。うち冷凍青汁の売上高も入っていますし、直販売上高はさらに低いでしょう。
B キューサイの前社長で現会長の藤野孝氏は、もともと開発本部長の職にありました。前職は冷凍食品出身で、健康食品や化粧品といった、現在のキューサイの主力商品は詳しくなかったと思います。そこを、社内では厳しい目で見る向きもありました。創業者の長谷川常雄氏はヒット商品をいくつも出しています。青汁をヒットさせて、その次は「ひざサポートコラーゲン」を当てる。これで青汁の売上減少分をカバーしてきたわけです。今やキューサイの売上構成を見ると化粧品通販会社といってもいいくらい好調ですが、その主力商品の「コラリッチ」シリーズも長谷川氏が軌道に乗せた商品です。そこまでの商品開発力を誇示していた長谷川氏に比べ、藤野氏は何もヒット商品を生み出していない。これが、社員からの求心力が高くないとの声が挙がる理由です。
C キューサイでは目立ったヒット商品がないなかで、何とかヒットした商品が、子会社日本サプリメントが販売を担当する、今回トクホ許可取り消しとなった「豆鼓エキス」シリーズというわけです。
A 社内ではかなりパワハラが多く、ここ数年上長の処分が多かったと聞くが。
C そうですね。長谷川前社長時も相当厳しいハッパのかけ方をすることでは知られていましたが、その時代はその結果社員たちの成長もあったし、それに見合う給与も支払われていた。その点では「アメとムチ」がしっかりしていたのかと。会社を売却した際には、社員にもかなりの額の配当金が出たようです。
A 買収金額が610億円といっても、一族がとった420億円との差額は一口株主の社員に分配されているはずだからな。
B 経営者としての人格は非常に優れていた、と評価していいでしょう。しかし藤野氏時代になってから、どんどん悪くなっていったわけです。ボーナスも減ってくるし、給与もあまり上がらない。社員離れも早くなってきて、結局はほかの有力通販企業から引き抜いてきた社員の集まりになりつつあります。現社長の神戸聡氏は、元(株)ドクターシーラボの出身。はじめて同業通販企業からのヘッドハンティングした例ですね。
A そう考えると、売上は伸び悩んでいるとはいえアサヒ緑健はすごい会社なんだな。
C 青汁って、今やコンビニでは200円程度で売られるほど一般的になった商品ですよね。アサヒ緑健は、その時代にあっても高額な青汁を売り続けられることが本当にすごいと思います。
A このまま青汁一本で事業を続けて、成り立たないとわかったら廃業すればいいというくらいの思い切りで経営しているように思える。社員の顔ぶれも固定しているんだろう?
C そうですね、キューサイに比べれば人離れは少ないと聞きます。あえて言えば、同じことをずっとやっていれば給料がもらえるわけですから。ときどきその利益を元手に、グループ会社で何か新しいことをやろうとすることもあるようですが、主力は青汁でまったくブレがありません。アサヒ緑健にOEMで商品を提供している東洋新薬も、今は機能性表示食品ブームでウハウハですしね。
B 藤野氏は、いったいいくらくらい年俸をもらっていたんでしょうか。
C 詳細は不明ですが、推定で2~3,000万円くらいでしょうか、コカ社の基準もあるでしょうからね。そういえば、問題の日本サプリメントですが、あの会社も以前買収した会社で、もともとはキューサイより給与水準は高かったみたいですよ。不祥事以降、横並びで減らしたようですが。一般社員は上限が月30万円で、それ以上は上がらない。高評価を3年連続できると、昇進できるといいます。社員として最高のランクまで上がっても、月60~80万円ということでした。役員になるとまたさらに上がるようです。
A そうやって社内の人事評価を受けて昇進してきて、部長クラスになれるようになった人材を、好き嫌いで軒並み降格させていたのが藤野氏だと聞くな。能力があっても昇進できない会社というわけだ。
C 当然、昇進の見込みがないから辞めていく社員も大勢いました。
(つづく)
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