幸福の国コスタリカ その現状と課題とは?(後)
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コスタリカが抱える大きな課題
関根 コスタリカは次のステップとして環境立国を目指していて、国土の約4分の1を自然保護、国立公園もしくは自然保護区に指定しています。そうやって保護した自然を旅行と結びつけた「エコ・ツーリズム」を、外貨を稼ぐ収入源にしています。現在、国民が481万人の国に、アメリカからだけで年間100万人の旅行者が来ています。
しかし、大きな課題もあります。それが「コスタリカのパラドックス」。発電方法そのものはクリーンですが、自動車が増えているため温暖化ガスの排出量が増えており、カーボンニュートラルの実現は難しい状況となっています。
それから、生物多様性が面積あたりだと世界一といわれるほど豊かな自然があり、環境立国を目指している反面、国民の環境意識自体は低く、どこに行ってもポイ捨てが多いです。大谷 リゾート施設などはキレイですが、普通の観光地の周囲は結構汚いですね。
関根 また、コスタリカが抱えている大きな問題の1つにゴミ問題があります。焼却炉の数が少ないため埋め立てているのですが、埋め立て場が満杯に近いそうです。しかも、ゴミの分別をしても、回収者が全部一緒にして埋め立ててしまう。環境立国なのに、環境教育が不十分なんです。
この状況を打開するために、ホセ・フィゲーレス・フェレール元大統領の娘であるクリスティアーナ・フィゲーレス氏が、環境面のリーダーシップを取って頑張っています。この方は、国連事務総長の候補に名前が挙がったこともあります。
そして、とくに大きな課題が「格差の拡大」。近年、コスタリカでは格差が広がっています。たとえば、国家予算で教育費はタダですが、金持ちの家は独自に英語で教育するなど格差があり、教育の質が問われています。要は公共のために使う税金をどうするかという問題なのですが、隣国がタックスヘイブンのパナマということもあり、大金持ちなのに税金を払わない人が結構いるそうです。国としても国際企業を積極的に誘致してはいますが、進出企業を無税にしているために、なかなか政府が予算を吸い上げられない状況だそうです。● ● ●
クリーンエネルギーの活用や軍隊の廃止などを実現し、世界一幸福な国と称えられるコスタリカ。国民全体の自然への敬意、平和への意識など学ぶべき点が多い話だった。課題こそあるものの、これまで実現してきた実績を考えれば、コスタリカの人々であれば乗り越えられるように思えてならない。
(了)
【文・構成:犬童 範亮】■コスタリカ共和国
面積:51,100km2(九州と四国を合わせた面積)
人口:481万人(2015年時点)
首都:サンホセ
言語:スペイン語
民族:スペイン系および先住民との混血95%、アフリカ系3%、先住民他2%<プロフィール>
大谷 賢二(おおたに・けんじ)
1951年、福岡市生まれ。九州大学法学部卒。98年5月、NGOカンボジア地雷撤去キャンペーン結成。2008年12月、アジア人権基金より「アジア人権賞」を日本人として初受賞。11年4月、(一財)カンボジア地雷撤去キャンペーンを設立、理事長に就任。<プロフィール>
関根 健次(せきね・けんじ)
1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒業。2002年にユナイテッドピープル(株)を創業し、世界の課題解決を目指す事業を開始。03年、募金サイト「イーココロ!」を運営。09年から映画配給事業を開始。11年から(一社)国際平和映像祭を設立し国連が定めたピースデー9月21日に合わせてUFPFF 国際平和映像祭を主催している。法人名
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