九州地銀(18行)の決算(17/3月期)を検証する(8)
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6.自己資本比率(バーゼルⅢ基準)ついて
バーゼルⅢとは、2007年夏以降に発生した世界的な金融危機に対処するため、10年に改定されたBISの国際統一基準。【表1】は、九州地銀(18行)の自己資本比率の順位表である。
この表から見えるもの
国内基準銀行の自己資本比率は4%、国際基準銀行は8%以上の規定が適用される。九州地銀18行は国内基準の4%を大きく上回ってはいるものの、第16位の筑邦銀行(7.73%)、17位の佐賀銀行(7.69%)、18位の福岡中央銀行(7.57%)は8%を割っており、海外への支店開設や外国企業との取引はできない規定となっている。8%が持つ意味は大きいのだ。
(1)フィナンシャルグループについて
トップは九州FGの12.38%(前年比▲0.48%)。2位は西日本FHの9.53%(前年比+0.45%)。3位はふくおかFGの8.80%(前年比+0.05%)。3グループとも国際基準の8%を超えているが、九州FGが他の地銀と経営統合する余力を一番有していることがわかる。(2)九州地銀18行について
第1位は肥後銀行で11.51%。2位は十八銀行で11.36%。以下、鹿児島銀行11.20%、北九州銀行10.96%、大分銀行10.35%、宮崎太陽銀行10.05%。6行が10%を超えている。ふくおかFGが十八銀行と経営統合することにしたのは、この自己資本比率の高さにあるようだ。
また、自己査定のため算出の方法に違いはあるものの、宮崎太陽銀行が宮崎銀行(9.69%)より上位で善戦しているのが目につく。
九州地銀18行のうち、自己資本比率が増加したのは8行。減少したのは10行。昨年1月、日銀がマイナス金政策を導入。そのため銀行は貸出金などのリスク・アセット(総資産)を増やし、収益(自己資本)を増やそうとしたが、計画通りにいかなかったことが読み取れる。【表2】は九州地銀(FG・FH)の18年3月期の当期純利益(予想)順位表である。
この表から見えるもの
ふくおかFG は、17年3月期に「負ののれん代」948億円を一括償却したため、当期純利益は▲543億円となったが、18年3月期の当期純利益予想は490億円でトップに復帰する。
2位は西日本FHで200億円。3位の九州FGは196億円であり、互いが意識し合う当期純利益予想となっている。
ふくおかFGを除き、当期純利益が前年比プラスを予想しているのは、九州FGだけとなっており、地方銀行にとって日銀のマイナス金利政策の影響がいかに大きいかがわかる。収益が底を打つことになるのか。それともさらに泥沼化するのか。18年3月期の決算は、九州地銀18行にとっては大きな節目となりそうだ。
(了)
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