微細藻類が注目されているわけは?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
このような環境の中で、韓国に微細藻類の新しい培養法を見つけ、微細藻類を化粧品の原料、サプリの原料、飼料添加剤に利用し、世界的な企業を目指す企業があり、話題になっている。株式会社パイコイルバイオテックコリアで、その創業者は任昌淳(イム・チャンスン)社長である。任社長はソウル大学で植物学を専攻し、アメリカに渡って、ブラウン大学で微細藻類を研究し、博士号を取得している。その後カーネギー研究所で微細藻類の研究を続け、ナスダックに上場しているSolazyme社に入社。その後独立してシリコンバレーにパイコイルインターナショナルを設立。米国よりも生産設備などは韓国で展開するのが有利であると判断し、韓国に生産拠点を作った。微細藻類は、いかに優秀な菌株を見つけるかが勝負であるが、同社ではすでに50以上の優秀な菌株を見つけ、保有している。当社が最も誇りに思っているのは、世界最高の培養技術を確立したことである。既存には二つの培養方法が存在していた。光合成法と発酵法である。光合成法は太陽光と二酸化炭素を使うということは長所であるが、日照量が一定ではなく、培養濃度が低いという限界があった。既存の発酵法は培養濃度高いが、微細藻類の種類が限られるという問題があった。
パイコイルでは、既存の培養法の限界を克服し、培養濃度が高く、適用できる微細藻類の種類も多い画期的な培養方法の開発に成功した。韓国の中でもかなり注目され、有名ベンチャーキャピタルからの資本調達にも成功しているし、製薬会社へのDHAのOEM供給、乳業会社からの粉ミルクの原料供給の依頼、飼料添加剤(サーモンの飼料に必須)の技術を韓国食品最大手であるC社に提供するなど、滑り出しは順調である。植物性DHAはにおいがしないため評判がよく、この分野での世界1位を目指して研究開発を続けている。
今年の下半期には日本進出も計画していて、化粧品、サプリ、粉ミルク、飼料添加剤などの分野でパートナとの提携を希望している。当社の培養技術は既存の培養技術より2倍~4倍効率が高く、工程技術にも磨きがかけられている。原料の供給、完成品での供給、技術移転などいろいろなビジネス形態に柔軟に対応して行きたいと、任社長は将来の計画を明かした。普通の韓国企業は韓国で起業をし、アメリカに進出するが、当社はアメリカで企業をし、韓国に進出した珍しいケースでもある。はたしてこのビジネスモデルは世界に通用するのかどうか興味津々である。
(了)
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