2024年10月05日( 土 )

どうなる「大分の1丁目1番地」 病院建設白紙、残された一等地は誰の手に?

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 大分市中心部の総合病院として、長年にわたり地域医療に貢献してきた大分中村病院。運営するのは社会医療法人恵愛会(所在地:大分市大手町、中村太郎理事長)だ。

 同法人は病院移転のため大分駅前の一等地を取得しているが、今年5月に資金不足を理由に移転計画を断念していたことが話題となっている。移転予定地としていたのは、かつての駅前のシンボルでもあった「大分パルコ」跡地だった。駅ビル開業にともない、大分駅周辺にはマンションが急増。駅周辺にこれだけまとまった土地はない。

大分パルコ跡地。現在はパーキングとして利用されている

かつては病院移転予定地と書かれていた

 大分市大手町にある現病院の老朽化や地域医療の充実を目指すため、同法人が大分駅前にあった「大分パルコ」の土地(4,000m2超)と建物を取得したのが2012年9月。

 15年度の新築移転を計画していたが、更地になった後も、建設コストの高騰などを理由に計画が大幅に遅れていた。その後も建設予定の看板は設置されたまま、土地は他の業者に貸与され、コインパーキングとして利用されていた。

パルコ跡地の対面にある大分駅

 移転を断念したのは、現病院の増改築を重ねたことによる借入金が増加し、建替資金の新規借入が難しくなったためとしている。借入金は16年3月期末時点で、43億1,997万円となっており、事業収入と同じ水準となっている。借入依存度は94.9%と、資金調達余力は乏しい。

 債務超過額は減少傾向にあるが、解消までにはまだ時間がかかりそうだ。5月末、官民ファンド「地域経済活性化支援機構」が大分中村病院の支援を発表し、病院経営を立て直すこととなった。土地は年内をめどに売却するが、新病院の建設計画は継続させ、20年以降に計画を具体化させるという。

 市も公共施設への活用などに向け、買い取りを視野に入れているようだが、一等地だけに地域を活性化させる活用法が望まれる。パルコ跡地の売却は三井不動産リアルティが窓口となり、複数の候補のなかから、コンペをした上で関係者の合意により決める方針となっている。同地がどのように活用されるのか、市民は注目している。

【東城 洋平】

 

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