九州北部豪雨の爪痕(3)~「何もかもダメになった…」住民の声
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田中誠さん(70)の家は朝倉の三連水車から4Mほど離れた場所にある。九州北部豪雨から2週間たった7月20日、道の土砂と流木はほぼ撤去されたものの、水車回りには流木が残され、家の目の前の田んぼは土砂が干上がって一面がひび割れてしまっている。この日の最高気温は33.6度。家のすぐ裏手には、水害によって出たゴミの仮置き場があり、30度を超えるうだるような暑さの中、異臭が漂ってくる。
「家の中に水が入ってきて、畳がダメになった。クーラーもテレビも使えない。外に置いていた洗濯機もだめ。車も動かなくなって代車を使っている。植木も泥をかぶったとこはもう全部枯れちゃうだろうね。何もかも水浸しになって、だめになっちゃったよ」(田中さん)
九州北部豪雨の日は膝下まで水位があがり、土砂は容赦なく家の中まで入り込んできたと話す。トイレが逆流し、家電はすべて水浸しになったという。幸いすぐにボランティア団体が駆けつけ、泥の除去と物品の支給があったが、厳しい生活を強いられている状況は2週間たってもなお変わっていない。
朝倉市が発表している21日午前9時段階で分かっている住家被害の状況は、全壊72件、半壊1件、一部損壊2件、床上浸水15件、床下浸水28件の計118件だ。
20日に梅雨明けした朝倉市はこれから夏本番を迎え、さらに気温は上昇していく。しかし、多くの被災住民は田中さんのように家電が使えず、冷房機器も使えない状況におかれている。飲料水などの物品支給ももちろんだが、熱中症対策を呼び掛けるなどの注意喚起が必要となってくるだろう。「先月、田植えをしたばっかりだったんだけどね」と田中さんはひび割れた地面に視線を落とした。一度土砂が流れ込み固まった地面は、重機を入れて深くまで掘り起こし、空気を含ませなければ再び植物が育つ土壌には戻らない。
九州北部豪雨から2週間。懸命な復旧作業が続けられているが、これまでの生活が戻る日は遠い。
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(つづく)
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