九州北部豪雨、帰宅を阻む大量の土石・流木~朝倉市若市区
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道がなくなった
九州北部豪雨の発生から3週間が過ぎようとしているが、被害が大きかった朝倉市では、まだ混乱の収拾がつかない状況にある。山からの土石流が直撃した地区では、橋が崩れ、流木や土砂や石で道が塞がり、帰宅できない市民も多い。朝倉市災害対策本部によると、7月24日午前9時現在、8カ所の避難所で577名が避難生活を送っているという。
住宅地近くを流れる川が氾濫した若市区では、川沿いから広範囲が土石、流木で占められていた。土砂が自宅のなかにまで入り込んだ家では、住人がシャベルで土砂をかき出しているが、量の多さにため息が尽きない。かつて池であった場所は、一気に埋め尽くされた。紙のようにくしゃくしゃになったガードレール、家屋の1階部分。重機による撤去作業も行われているが、土石、流木の量からすると、復旧までかなりの時間を要することが考えられる。
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このような状況が、避難生活の長期化の一因となっている。集中豪雨のなか、自宅から逃げられなくなり、自衛隊のヘリで救助されたという60代男性は、「橋が落ち、道が土砂で塞がっているため、家に戻る道がなく、帰りたくても帰れない」と事情を話す。避難所生活は20日目を迎えようとしているが、帰宅の目途がつかない避難者は多い。集団生活の心労は絶えないが、十分な食事と、避難者に無料開放された地元の温泉が救いという。
流木の仮置場となっている「あまぎ水の文化村」には、市内各地から撤去された大量の流木が運ばれ、山積みになっていた。ほかにも市内各地に仮置場が設けられているが、被災地に残された流木の状況からすると、「まだ十分ではない」(市対策本部)という。集中豪雨による川の氾濫や土石流は、流域周辺の風景だけでなく、人々の生活まで激変させた。各地にいまだ残る土砂、流木は、自然災害の恐ろしさを物語っている。
【山下 康太】
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