九州北部豪雨 特産品にも被害~川茸養殖業者が営業を再開
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九州北部豪雨は、地域の特産品にも被害を与えている。
2013年10月にNetIB-Newsで紹介した「川茸元祖 遠藤金川堂」も、養殖中のスイゼンジノリ(川茸)100キロが川に流される被害を受けた。同社は、寛政5(1793)年創業以来220年以上続くスイゼンジノリ養殖業者。スイゼンジノリは江戸時代から高級食材として知られ、将軍家の献上品目だったこともある。環境の変化により、現在は朝倉市の黄金川でのみ自生し、同市の2業者が養殖を続けている。
遠藤金川堂17代目代表の遠藤淳氏に、被害を受けて以降の状況を聞いた。
――7月5日、雨が降り出した頃の状況は。
遠藤 降り出した時は、ちょうど車を運転していました。ワイパーの速度をいくら上げても前が見えず、道路も冠水し始めたため、「家に帰ることができるのか」と恐怖を感じましたね。
作業場の横にある黄金川の水位は、降り始めから1時間くらいで1mほど上昇し、作業場に水があふれてきました。作業場の道具と一緒に、川茸も100キロほど流されました。これは育てていた川茸の3分の1ほどの量です。
――営業を再開されたのはいつごろですか。
遠藤 7月10日から営業を再開しました。海苔の販売については、これまでストックしていたものをあてています。流された川茸のうち、下流域に堆積していたものを回収して、洗ったうえでもう一度川に戻して、いまは経過観察しているところです。おかげさまで、流されたうちの半分ほどは回収できたと思います。
――たくさんの応援の声が届いているそうですね。
遠藤 朝倉市の被害状況を見たお客様から、たくさんの励ましの声をいただきました。メールや電話に加えて、直接来ていただく方もあり、感激しました。23日まで福岡市のデパートで開かれていたイベントに参加した際も、温かい声をいただいており、本当に感謝しています。
営業を再開した遠藤金川堂のある地域はライフラインの被害がなかったため、比較的早く営業を再開することができた。同社が今まで築いてきた信用と、なによりも誠実に事業に向き合う姿勢が評価されたのだろう、顧客からたくさんの応援の声が届いているという。老舗企業の、長い歴史をかけて培われた底力を見た思いがした。
【小山田 浩介】
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