2024年11月20日( 水 )

新生サンリブ発足(後)~最大の難題、不採算店対策

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 サンリブとマルショク合併により、新生サンリブが発足した。単純合計の売上高は2,080億円とマックスバリュ九州の1,742億円を上回り、九州首位の食品スーパーに躍り出る。合併は1998年、グループ再編で2社体制が発足して以来の悲願だった。だが、実態は熊本地震で経営が悪化し自力再建が困難になったマルショクのサンリブによる救済合併。グループ再編以来の宿願を実現したとはいえ、老朽不採算店の多いマルショクを抱え込むことは新生サンリブに経営上のリスクになる。経営陣のかじ取りが注目される。

 新生サンリブは売上高2,080億円と、マックスバリュ九州の今期予想売上高1,750億円を抜いて、2013年以来5年ぶりに九州食品スーパー首位を奪還する。

 とはいえ、新会社の前途は多難だ。仕入れと物流は4年前に統合済みで、合併による規模の利益は望みにくい。せいぜい管理部門の統合でコストを抑えられるくらいだ。

 最大の問題は不採算店が多く、財務体質の弱いマルショクを抱え込むことによるリスク。旧マルショクの83店(17年2月期末)は小型店や老朽店が多く、大半が競争力を喪失し、閉鎖や改装、移転新築などの対策が急務になっている。8月末に閉めたJR日田駅前にある日田店は築後50年を経過、建物は4階建ての旧来型総合スーパーで、イオンやイズミならとっくの昔に閉めていたと考えられる。3、4階はテナントが出ていってしまい、空き家のままだった。10月末に閉店する四日市店(大分県宇佐市)も同様に半世紀以上経過した老朽店で、改装などの手も入れられずに今日まで営業してきた。

 サンリブは前期の自己資本比率が29.2%と経営体力は磐石といえない。自己資本比率3.8%のマルショクと一緒になったことで財務上の負担は増す。赤字店舗の閉鎖を短兵急にやれば財務体質をさらに傷ませかねない。
 とはいえ、時間をかけて処理するような悠長なことはいっておれない。競争は激しく、処理を先送りすればするほど赤字を膨らませかねない。
 計画では3年以内に大分・熊本・宮崎県のマルショク18店舗を改装する。
 旧マルショクでは資金的に難しかったが、改装で営業をテコ入れする。
 新規出店も積極化する。直営の食品スーパーを核店舗にドラッグストアやアパレル専門店、書店、ファーストフードなどで構成する近隣型商業施設(NSC)を3年間で建て替えることを含め、3カ所以上出店する。サンリブは前期、老朽化していた折尾、直方店をNSCに建て替えた。
 合併を主導した佐藤社長は10年の長期政権も視野に入ってきた。不採算店対策をどこまでやり遂げられるか、手綱さばきが注目される。

(了)

 
(中)

関連記事