2024年12月04日( 水 )

ド派手なセレブ生活も終焉か(1)~(株)ストーンマーケット

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 天然石アクセサリー販売で急成長した(株)ストーンマーケット(本社:福岡市中央区、中村泰二郎社長)だが、業績の悪化から事業の縮小を余儀なくされている。2年半ほど前に「ド派手なセレブ生活は続くのか」と題して同社の凋落を報じたが、いよいよド派手なセレブ生活も終焉が近づいているようだ。

驕れるもの久しからず

 社長自らがメディアに積極的に露出することで、同社は知名度を上げた。ハイブランドのファッションに身を包み、フェラーリを観賞用として飾った部屋で芸能人と華やかなパーティーを開く。バブル時代を再現したかのような中村社長の言動は「下品な成金趣味」と揶揄されながらも話題を呼び、テレビ番組にも度々登場した。SNS上では芸能人と中村社長の親しげな写真が次々にアップされ、いわゆる「リア充」の走りとも言える存在だった。

 同社の天然石アクセサリーは、それまでの高級アクセサリーと違い、手頃な金額で買える斬新なデザインのアクセサリーとして、若者を中心に受け入れられた。女性だけでなく男性ファンの心も捉え、それまで身につける人の少なかった石のアクセサリーは、国内のみならず海外にまで広まった。伝統あるハイクラスのアクセサリーでもなく、安かろう悪かろうのチープなものでもない。ミドルクラスの天然石アクセサリーは、中村社長自らが広告塔となり、芸能人やスポーツ選手に広めることでブランド価値も高めた。

 一般の消費者向けに社長自らが広告塔になる手法は、それほど珍しいものでもない。認知度が高まることで信用力もアップするし、それが売上増加につながれば、企業の販売手法としては成功だ。問題は、その手法には持続性がないことだ。最初は面白がって観ていた人も、そのうち飽きるし、度が過ぎると嫌悪感すら抱くようになる。ファッションのトレンドも変われば、景気の状況も変わる。消費者の関心は移ろいやすく、変化への対応が遅れれば、販売は急速に萎むことになり企業は負のスパイラルに落ち込む。

 同社は急成長した成功体験に縛られ、変化への対応を見誤った印象だ。高収益企業だったはずが、いつの間にか借入金も膨らみ、財務内容は悪化していった。前シリーズで同社の決算内容を分析したが、借入金の多さに驚いた人も多かったようだ。ド派手なセレブ生活のイメージとかけ離れていたからだろう。過大な借金を抱えながら、相変わらずメディアで金持ちアピールをするさまは、内情を知るものにとっては違和感を覚えるものだった。同社の業績は、そこからさらに落ち込んでいる。多角化してきた事業も縮小し、もはや青息吐息の状況だ。今シリーズでは同社の現状を検証するとともに、今後について考えてみたい。

(つづく)
【特別取材班】

▼関連リンク
・ド派手なセレブ生活は続くのか(1)~ストーンマーケット
・続・ド派手なセレブ生活は続くのか~ストーンマーケット

 
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