重く圧し掛かるTHADD経済報復の余波(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
中国はそれだけでなく、色々な形で韓国政府にTHAAD配備を中止するようにプレッシャーをかけている。韓国は世界金融危機などの経験から、韓国が金融危機に陥ってドルの融通がうまく行かないことに備え、中国と約560億ドル規模の通貨スワップを結んでいるが、10月が満期で契約の更新ができず、契約が切れる可能性も大いにある。すべてTHAAD配備に対する中国の経済報復の一環である。
中国の経済報復は中国に進出した韓国企業にも影響が及んでいる。THAADの配備用地を韓国政府に提供したロッテグループは、中国市場からの撤退を決定するに至っている。ロッテグループのなかでスーパーマーケットを中国で展開していたロッテマートは、ゴールドマンサックスを売却主幹事に選定し、中国内の112店舗のスーパーを売却することになっている。ロッテマートが中国で展開していた112店舗を売却すると、1兆ウォン前後の損失発生が予想されている。しかし、証券街では売却によって不安材料が取り除かれることは、一時の損失ではあっても、将来的にはプラスになるとされている。中国のロッテマートは去年売上高1兆1,200億ウォン、営業損失1,400億ウォンを計上した。今年はその損失が膨らみ、約2,000億ウォンの赤字が予想されている。ロッテグループの会長は中国で何とか踏ん張りたいと言っているものの、赤字が縮小する兆しがないので、このような選択になった。ロッテマートの帳簿価格は8,300億ウォンと知られているが、帳簿価格で売却するのはほぼ期待薄であろう。
もう一つの企業である韓国スーパー業界の最大手イーマートも、中国進出20年目に中国市場からの撤退を決定している。イーマートはタイの最大グループであるCPグループに店舗を売却する予定であるようだ。ロッテグループは中国に今まで10兆ウォンほどを投資したが、THAAD配備を巡って企業の命運が変わっている。今までは好意的であった中国政府はTHAAD配備をきっかけに韓国企業に厳しくあたっている。中国政府のこのようなスタンスに中国国民も同調して、韓国製品の不買運動などを繰り広げ、別の分野でも売上高の減少は起きている。中国で現代自動車は今年の上半期の販売台数は前年同期比で30%減少。中国の報復措置は韓国経済を苦境に陥れつつある。
(了)
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