産廃処分場を巡る裁判で見えてきた壮絶な騙し合い(1)
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福岡市博多区金隈にある産廃処分場運営の(株)和幸商会(本社:福岡市博多区、箭内伊和男代表)で起こったサニックス創業メンバー箭内氏による会社の「乗っ取り」は既報の通りだ。取材の過程で判明していたのは、同処分場の不可解な不動産取引だった。そして、今回、同不動産をめぐる裁判を通じて、処分場売却の真相が見えてきた。
不可解な不動産取引
話の舞台は、福岡市博多区金隈で2003年に操業を開始した安定型最終処分場である。「博多金の隈ゴルフヒルズ」の隣と言えば、土地勘のある方にはわかりやすいだろう。この処分場を運営するのが、1972年に設立された(株)和幸商会で、現代表はサニックスの創業メンバーの1人である箭内伊和男氏だ。同社の沿革と、いかにして箭内氏が同社を掌握していったのかは既報の記事を参照されたし。
安定型処分場に搬入してはいけない、「管理型」産廃の存在が見つかり、2年以上前から、福岡市は行政指導を行っていた。今年7月26日には、その状況が改善されないことから、市は「改善命令」という処分を下し、法的措置を取った。しかし、その後も適切な運営ができているとは言い難く、「会社の稼働もしていないのでは」と聞かれたが、処分場の土地所有権に動きがあったことから、取材を敢行した。
同処分場の土地所有権をめぐり、不可解な取引が確認された。和幸商会は(株)クリーン金隈(本社所在地は和幸商会と同所、吉岡直之代表)に2015年4月、同処分場の土地を売却。その後、購入したクリーン金隈が、関西で産廃処分場を経営するU嶋氏に16年9月に転売していた。ちなみに、このU嶋氏は東証2部上場のクレアホールディングス(株)の主要株主でもある。
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問題はその先だった。17年3月に転売したはずのクリーン金隈がU嶋氏に対し処分禁止の仮処分を裁判所に申し立てていたことが判明。想定されたのは、なんらかの理由でU嶋氏から土地を取り戻そうとしていることだった。同様に、担保設定に関しても通常取引では考えられない不可解な点も浮上していた。
取材の過程で、上述した処分禁止の仮処分に起因する裁判事件の存在が明らかになったのだ。
(つづく)
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