米FRBの資産縮小と韓国経済(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
アメリカが利上げをするようなこのような状況で、韓国銀行の悩みは深まってばかりいる。今までは韓国の金利は米国の金利に比べて高かった。お金は金利の安いところから高いところに向かうので、今までは外国の投資家は韓国に投資をするメリットがあったわけだ。しかし、米国は利上げを実施したにも関わらず、韓国では利上げをしないと、米韓の金利逆転現象が起き、韓国市場から資金流出が起きる可能性がある。かといって、外貨が韓国市場から逃げ出すことを防ぐために、むやみに金利を上げるようなものなら、韓国の家計負債の爆弾が爆発する恐れが出てくる。 韓国銀行はかなり難しい選択を今現在迫られているわけだ。韓国の家計負債は第2四半期に1,388兆ウォンに達し、1,400兆ウォンを目前に控えている。韓国の家計負債は金額が大きいことも問題であるが、韓国の家計負債のもう一つの問題点は、負債の増加スピードが速いことだ。2015年末にはGDPの88.1%であった家計負債が1年が経過した2016年末には4.7%も増加し、GDP対比92.8%になっている。
GDP対比家計負債の増加率は世界3位になっているほどだ。今でも一部の財閥企業を除いた庶民経済は疲弊しているのに、家計に利上げのようなショックが加わると、韓国経済はひとたまりもない。日本も世界金融危機と東日本大震災を契機に、かなり庶民経済は弱っている。韓国もすでにぼろぼろの状態で、このような外部衝撃に耐えられないだろう。このような状況の中で、韓国経済にとって良い材料もある。高高度防衛ミサイル(THADD)配備に対する中国の報復で、韓国経済は苦境に陥っていた。政府の試算によると、中国のサード報復は韓国のGDPを年間0.4%引き下げる要因になるとのことだ。幸いなことに、中国と韓国の両首脳が会談することで、関係改善に向かうことになっている。
中国の旅行会社は韓国旅行の募集を中止していたが、募集を開始しているようだ。観光だけでなく、化粧品など中国市場で奮闘していた商品にはチャンスの再開になるだろう。アメリカの景気が回復し、金利を上げるということは、輸出企業にも朗報である。利上げはドル高をもたらし、輸出力の増加を意味することになるからだ。しかし、本当にアメリカの経済は堅調なのかどうか、もう少し様子を見る必要もあるのではなかろうか。
軽率な政策判断でまだ世界経済の回復に水を差すようなことがあってはならない。経済にとって、金利はとても大事な要因なので、アメリカを筆頭に世界経済が回復することを祈願したい。
(了)
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