ビットコイン急落、今後どうなる?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
しかし、このように通貨としての機能は十分ではなくても、ビットコインは価値保存の手段として重宝されているようだ。ビットコインには2,100万個という発行量の上限が決められているので、人々は通貨としてではなく、資産として値上がりを期待して、ビットコインに投資をしているのが現状ではなかろうか。ところが、何かビットコインに不都合な情報が流れれば、相場は暴落するに違いない。
ビットコインの将来のリスクとして筆者が注目しているのは、マイニングである。ビットコインの中核であり、ビットコインを支えているエンジンはマイニングである。ビットコインは、一定期間ごとにすべての取引を記録している。記録には膨大なコンピューターリソースを必要とするが、このリソースを提供した人にその報酬としてビットコインが与えられる。この仕組みを「マイニング(採掘)」と呼ぶのである。
すなわち、マイニングによって、取引も成立されているし、ビットコインの発行量も新たに増えていくシステムである。ところが、ビットコインはマイニングのインセンティブが4年ごとに減らされる設定になっている。ビットコインが始めて発行された2009年には、マイニングのインセンティブは50ビットコインだったが、4年後の2012年には25ビットコインになり、その4年後にはまたその半分に減る。もちろん、量が減っても、ビットコインの価格がそれ以上上昇すれば問題はなくなるが、そうならない場合、マイニングのメリットが減少して、マイニングする人が存在しなくなると、取引がスムーズに行かなくなる可能性がある。
マイニングには大型サーバ設備と計算を実行するために大量の電力が消費される。しかし、マイニングに必要なコストが、マイニングで得られる収益を下回るようになったら、誰もマイニングしなくなるだろう。採算が赤字になっても、事業を続ける人はいないからだ。実際2016年7月にそのようなことが現実化している。マイニング報酬が半分になって採算が悪くなると、業者が事業から撤退したわけだ。それに、マイニングの9割以上は中国で行なわれている。価格が高騰して華やかに見えているビットコインは水面下では、このような限界を抱えていることが露呈した。
もちろん、人類歴史はこのような課題を克服しながら発展したことは間違いない。ビットコインの分裂騒動でわかったようなさまざまな問題に、どのように対処していくのか今後の動向を見守りたい。上記のような課題以外にも、政府の規制、政府が発行する仮想通貨への対応などビットコインの前途には課題が山積している。
(了)
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