シェアリングエコノミーで仕事の領域が拡大!(前)
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APAMAN(株)
今不動産業界は「19年問題」を抱えている。日本の世帯数は19年の5,307万世帯をピークに、その後は減少に転じ、35年には4,965万世帯まで減る(国立社会保障・人口問題研究所)。加えて「東京オリンピック(2020年)」後のバブル崩壊を恐れて、19年ごろには外国人投資家はいっせいに物件を売り抜けると言われている。一方で、不動産業界はIT・AIで深化、さらにシェアリングエコノミーが浸透し、仕事の領域が拡がり、その様相を変えつつある。18年以降の不動産・賃貸業界の行方はどうなるのか。「企業の利益と社会の発展は表裏一体」を説く、不動産・賃貸業界の雄、大村浩次APAMAN(株)代表取締役社長に聞いた。
不動産業界にもシェア経済が浸透
――まず、2017年の不動産・賃貸業界を振り返っていただけますか。
大村浩次社長(以下、大村) 大きく2つのことに注目しています。1つは、AI・クラウドのさらなる深化です。今後の不動産業界はテクノロジーに強い会社がリードしていくことになると思います。もう1つは、「シェアリングエコノミー」(以下、シェア経済)の概念が浸透し、私たち不動産の仕事の領域が大幅に拡がったことです。シェア経済とは、個人や企業・団体が所有するモノや技能を他人や他企業・団体と共有することを意味します。この概念は従来の不動産業界のビジネスの枠組みを大きく変える可能性も秘めています。入口に置いてあります自転車「ecobike」やコワーキングスペース「fabbit」のサービスも、シェア経済の延長線上にあります。
働き方改革に力を入れました
――御社の17年はいかがでしたか。9月の決算説明会資料を拝見しましたが、経営数字的には順調ですね。
大村 前年同期比で、売上高は7.7%、営業利益は2.7%増でした。昨年度と比較して、AIなどの開発費は2倍以上に増やしましたが、一定の評価をいただいております。弊社は1999年に「ITを活用して不動産業界の質的向上に貢献したい」という思いから設立しました。株式公開時の基準期決算では、売上の約93%がテクノロジー(IT・クラウド)でした。昨今はとくに、顧客やFC店へ提供するサービスの多くが、ITやクラウドサービスとなり、同サービスの良否が企業の優位性を定めるようになってきています。
社内に関していえば、今年は政府の方針に賛同して「働き方改革」に力を入れました。働き方改革とは、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに着手する改革です。1人ひとりの意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求するものです。
この改革を進めていくことで、人々のワーク・ライフ・バランスの実現、生産性の向上を目指し、企業文化や風土を変えていくものです。 弊社としては、常に心掛けてきたことですが、今年はさらに一歩進んでいろいろな環境を整えました。一例ですが、勤務時間は通常は朝9時から夕方6時です。しかし、朝8時に出勤の場合は夕方5時に帰ることができます(フレックスタイム)。さらにいえば、すべての社員に当てはまるわけではないのですが、ある職域の社員の場合は、1週間に3日、1日4時間(3日×4時間/1日=12時間)以上であれば毎月出勤日数や労働時間を自ら定めることができます。現在、約半分の社員が希望すればこの勤務形態が可能になっています。
集中して仕事ができる環境をつくりたい
――働き方改革の行き過ぎは経営数字や従業員管理を難しくしませんか。
大村 会社の主な仕事はチームで動いていますので、今のところ支障は出ていません。たとえば6人チームの場合、全員が一斉にフレックスタイムになることはありませんし、また全員が1日4時間勤務を希望することもありません。チームで、お互いの環境を考慮、助け合っています。経営数字や従業員管理云々に関係なく運営されています。限られた時間のなかで働くと生産性は高まると感じております。一方で、一見無駄なように思われ、実際には高いコミュニケーションをつくり上げていた「仕事とは関係のない話」が、少なくなったことについては、多少寂しさを感じる時もあります。
弊社には多くの主婦が働いています。お子さんもおられますし、介護の時間を必要とされる方もおられます。その点を考えれば弊社にとって「働き方改革」はとても重要なのです。このような雇用制度を約9年前から採用していることもあり、採用難といわれるなか、7年間で約3万人のご応募をいただき、約600人の方を採用させていただきました。このような取り組みを積極的に行った結果、生産性も高まり、この3年間の平均で約5.3%(17年度の大手企業の平均が約2.34%)の賃上げを実現、利益を社員に還元することができました。
(つづく)
【文・構成:金木 亮憲】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:大村 浩次
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1
朝日生命大手町ビル3F
設 立:1999年10月
資本金: 79億8,000万円
T E L:03‐3231‐8020
U R L:http://www.apamanshop.com/<プロフィール>
APAMAN(株) 代表取締役社長 大村 浩次 氏
1965年6月生まれ。福岡県出身。1999年にアパマンショップネットワーク(現・APAMAN(株))を設立。当初より、代表取締役社長を務める。「業界の質的向上」そして「社会貢献」という理念のもとに、さらなる事業の創造を目指している。法人名
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