楠田大蔵氏が接戦を制し当選~太宰府市長選
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28日投開票の太宰府市長選で、無所属新人の楠田大蔵氏(42)が初当選した。前回市長選を10ポイント以上下回る低調な投票率(42.17%)のなか、知名度で上回る楠田氏が約2,000票の僅差で接戦を制したかたちだ。
楠田氏は筑紫野市出身。東京大学法学部を卒業後に銀行員として勤務した後、2003年7月に行われた衆議院選挙で民主党から出馬して初当選。3期連続で衆議院議員を務めたが、希望の党から出馬した昨年の総選挙では議席に届かなかった。今回の市長選挙は、前市長の芦刈茂氏(68)が市政運営をめぐって議会と対立し、市議会が前市長に対して不信任決議案を可決、市長が失職したことによるもの。当初は出馬意向を表明していた芦刈氏が立候補を断念したことで、楠田氏と元教育長の木村甚治氏(64)の新人同士の一騎打ちとなっていた。
選挙結果からうかがえるのは、市民にひろがる「混乱疲れ」だ。芦刈前市長の言動に問題があったにせよ、中学校の完全給食をめぐる市制の混迷や、「オール太宰府」体制の議会運営は市政刷新を望む市民にとって歓迎できるものではない。楠田氏の当選は、知名度に加えて若さやしがらみのなさが批判票の受け皿になった結果ともいえる。
木村氏陣営は、「知名度の低さ」を敗因にあげる。自民、公明の推薦を受けて組織票を固めるなか、組織型候補に有利といわれる低い投票率でもなお届かなかったという現実に、楠田氏当選を告げられた選挙事務所は静まりかえった。「公明党と自民党県連の足並みがそろわなかったために、楠田氏の後半の追い上げに対抗できなかった」と分析する選対関係者もいる。
楠田氏の選挙事務所に駆け付けた支持者は「これから新しい風が吹く。若い新市長に期待したい」と意気込む。しかし、楠田氏がこれから向き合わなければならないのは、オール太宰府でまとまった市議会だ。芦刈氏が「楠田氏に期待する」と発言したことで市議会の反発が予想されるうえ、楠田氏の行政経験不足を危ぶむ声もある。波乱含みの船出であることは間違いない。
楠田氏は当選後の記者会見で、「責任の重い勝利。これからは、市議会や市民とともに市政の再建に挑みたい」と決意を述べた。まずは混乱した市政の沈静化をはかるとともに、市政に対する市民の信頼を取り戻すことが求められている。
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