奇跡のJ1昇格 V・ファーレン長崎 高田明社長の目指すものは(3)
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(株)V・ファーレン長崎 代表取締役社長 高田 明 氏
Jリーグ・J2は毎シーズン有力チームが入れ替わり、当初有力視されていたチームが下位に沈み、ノーマークの弱小チームが躍進するドラマが繰り返されている。とくにJ1への昇格争いは、「まさか」の声が漏れるような快進撃や大逆転劇が相次ぐ、世界でも稀に見る過酷な戦い。2017年4月に高田明氏が代表に就任したV・ファーレン長崎の昇格劇は、そのなかでも白眉といえるだろう。立役者の1人である、高田明代表に話を聞いた。
J2の力を越えたから昇格できた
――来シーズンの目標としては、やはりJ1残留ですか。
高田 いやいや、残留は目標にはならないですよ。残留では、皆さまの夢にならないでしょう。「残留するぞ!」というためにJ1に上がったわけじゃないですから(笑)。どんなことでも、達成できるかどうかはわかりません。ビジネスの世界でも、目標を掲げても目標に達せないことはある。努力しても、自分たちの力だけでは越えていけないいろいろなリスクがあります。だからこそ、そのプロセスにどれだけ向き合っている自分たちをつくれるかということが、結果的に、残留以上のものを生み出していくと思います。一戦一戦、一秒一秒を真剣に戦っている選手の姿を想像し、それを応援しているファンと県民の姿を想像し、それが一体になったときに残留どころかアジアも……という世界にいけるかもしれない。そういう夢をもってもいいじゃないですか。
――目標が残留ですと、現実的すぎるかもしれませんね。
高田 18年の年末になって、「いやあ残留してよかったですね」という人は誰もいないと思うんですよね。夢はもっていいんですよ。それが自分たちがもっている以上の力を出してくれる。人間、やらなきゃいけないと思ったらやれるんですよ。本当の情熱が出てくれば、周りが見る以上の力を発揮できるんです。それが、V・ファーレン長崎が13戦負けなしで昇格できたということだと思いますよ。「J2の実力ではJ1では通用しない」ではなくて、「J2の力を超えたからJ1に上がることができた」と、選手たちの力を信じたいんですね。その証拠に、毎試合違うヒーローが出てきてくれました。全選手が1つの方向に向かっていました。よく「社長、いったい何をしたらそうなったんですか」と言われますが、私は何もしていません。気持ちを語ってきただけです。でも、人は気持ちで変わるということが、V・ファーレンの今年に現れていると思います。
20億円規模の収入目指して経営基盤を強化
――では18年は、社長としてどんな動きをしていくおつもりですか。
高田 経営の立て直しはまだ道半ばです。ようやく1人立ちできたというところですね。V・ファーレン長崎はジャパネットの子会社ですが、その立場にいつまでもいてはいけない。まだ企業再生の途中ですね。
――企業としての営業収入は、福岡、鳥栖など同じ九州のJリーグクラブと比べてもまだ低い状態です。アビスパ福岡の半分以下ですね。
高田 そうですね。広告収入は3億5,900万円。これはトップの名古屋グランパスの10分の1以下ということになります。これは17年は大きく改善しました。それにJ1では20億円程度の規模の営業収入がなければ経営していけませんが、そこも見えてきました。でも、強化を進めていくためにはまだ足りませんから、努力しています。サガン鳥栖さんが27億円ほどですが、ここを目指して努力していきます。
――観客動員数も増えるでしょうから、入場料収入も期待できますね。
高田 17年の1試合平均の観客動員数は5,941名でした。たしかに少ないですが、平均ではなくて昇格がみえてきた時期でみていただきたいですね。名古屋との試合では1万人を超える観客に来ていただきました。逆に観客が多過ぎて入れないことも心配してますよ。
(つづく)
【深水 央】<COMPANY INFORMATION>
代 表:高田 明
所在地:長崎県諫早市多良見町化屋1808-1
設 立:2006年6月
資本金:3億4,000万円
売上高:(17/1)7億4,900万円関連記事
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