波乱模様の経済界(7)~ホテル業界 朝日新聞、銀座に外資系ホテルを誘致(後)
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2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、東京のホテルラッシュが止まらない。ホテル開発は、土地持ち企業である鉄道系や不動産デベロッパー、ホテル専門業者などが専売特許だったが、異業種からもホテル誘致や進出が相次いでいる。大乱立の様相を呈しているが、はたして大丈夫なのか――。
H.I.S.の「変なホテル」は都心への出店攻勢
海外旅行会社(株)エイチ・アイ・エス(H.I.S.)グループは2月1日、ロボットホテル「変なホテル東京 銀座」を開業した。ビジネスマンや個人で行動する訪日観光客の利用を見込んで、全98室のうち61室を1人用。宿泊料金は1室7,000円から。
フロントには従来の同ホテルで多かった恐竜型ではなく、女性の人型ロボットを2台配置。床清掃や窓拭き、空気清浄用のロボットも導入。同規模のホテルの4分の1の計7人が交代で運営する。
「変なホテル」は、長崎県佐世保市のレジャー施設「ハウステンボス(HTB)」で導入し、人気を得た。その勢いで全国展開を開始。変なホテルとしては5カ所目。都内では江戸川区について2カ所目。年内に、浜松町や赤坂でも開業を予定している。
H.I.S.の17年10月期の連結決算は、売上高が前期比15.7%増の6,060億円、営業利益は11.5%増の159億円と増収・増益だった。部門別では、主力の海外旅行が回復した。
子会社のハウステンボス(HTB)グループは、売上高は同15.4%増の367億円、営業利益は2.7%増の76億円。HTBグループの2ケタ成長の原動力となったのは、ロボットホテル「変なホテル」とエナジー(電気の小売)事業。「変なホテル」もエナジー事業も、ハウステンボスの広大な土地を利用し、実証実験を繰り返して生まれたものだ。
HTBグループの営業利益は、旅行事業の99億円に迫る。売上高営業利益率は20.9%。低収益の旅行事業のそれは1.8%。HTBは、今やH.I.S.本体を支える主柱にまで成長した。
ホテル事業の売上高は同23.7%増の81億円、営業利益は37.5%増の7.6億円。営業利益率は9.3%。今後は「変なホテル」をホテル事業の柱に据え、「変なホテル」を世界に100カ所つくる計画だ。
20年の東京オリンピック後には訪日観光客は激減か
17年の訪日客は前年比19.3%増の2,869万人。政府は、20年に4,000万人に増やす目標を掲げている。訪日客の増加を追い風に、都内では新規ホテルの計画が目白押しだ。不動産サービスの世界大手、米CBRE(東京都千代田区)がまとめた日本のホテル動向調査によると、東京など主要都市で開業を予定するホテルの客室数は合計8万室となり、16年時点のストックから3割増の増加を見込む。東京では2万9,000室増えるが、それでも3,500室不足すると予測している。
一方、みずほ総合研究所(株)は1月26日、「インバウンドの新たな注目点とホテル不足の試算アップデート」を公開した。試算では、新規開業の増加や今年6月の民泊解禁、クルーズ船利用者の増加などで、20年には東京でも客室数は不足しないという結果になった。
だが、東京オリンピック後は、訪日観光客が激減するのは避けられない。乱立したホテルの淘汰が始まる。閑古鳥が鳴くホテルも出てくるだろう。各ホテルは、特色を打ち出さなければ、生き残れない時代を迎える。
(つづく)
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