医学部専門予備校「D組」に何が起きたのか(1)高橋代表は疑惑を否定

 昨年秋以降、予備校業界の一部で、大学入試をめぐる疑惑が噂として広がった。その噂とは、東京都千代田区にある医学部専門予備校「D組」で、同校を運営する(株)D組の代表である高橋俊介氏が、2024年11月に実施されたA大学医学部の25年度推薦入試において、自身の担当科目である数学の試験問題を不適切に取り扱ったのではないかという疑惑だ。

噂の発端と、情報発信の混乱

 噂の発端となったのは、昨年11月9日にD組内部で行われたとされる説明会見だ。複数の関係者によると、D組代表の高橋氏が職員ならびに非常勤の講師に対して、疑惑の対象となった試験問題の取り扱いについて説明を行ったという。この会見後、一部の講師が同校を離れたという情報も流れた。しかし、会見の正確な内容は外部には明らかにならなかった。

 一方で、この時期を境にD組の外形的な状況に大きな変化が表れた。

 まず、11月14日、D組のYouTubeチャンネルにアップされていた動画が非公開となった。さらに翌15日には、D組のXアカウントとD組の公式ホームページも非公開となり、高橋氏が自身の生活の様子を投稿していたInstagramのプロフィールも削除された。このように、15日までにD組の情報発信が一斉に非公開になる事態が見られたことから、ネット上では「D組が飛んだのではないか」との噂が流れた。

 しかし、19日になると一転して、D組のYouTube チャンネルXアカウントが復活した。だがYouTube チャンネルで公開されている動画は大幅に減り、見ることができるのは大学別対策シリーズのみとなった。20日にはD組の公式ホームページ※注)も再公開されたが、見ることができるコンテンツは「解答速報」のみで、その他の「講師紹介」や次年度の生徒募集に向けたコンテンツなどはすべてページが削除されていた。

 このように外形的に明らかなD組の混乱と、一方で疑惑の真相がまったく明らかにならないなかで、業界内では噂の流布が続いた。

 流布した噂は真偽不明であるため、ここでその詳細に触れることは割愛するが、当社ではその真偽を確認すべく高橋氏本人に取材を試みた。

 電話で取材に応じた高橋氏との主なやり取りは次の通りだ。

高橋氏は疑惑を否定

 ──試験問題の漏えいを行ったのか。

 高橋俊介氏(以下、高橋) 漏えいは行っていない。

 ──漏えいを企てたのか。

 高橋 企ててもいない。

 ──文科省から調査を受けた事実はあるか。

 高橋 事実はない。

 ──11月上旬にD組内部での説明会見を行ったのは事実か。

 高橋 事実だ。

 ──上記のようなことを行っていないとすれば、何について説明を行ったのか。

 高橋 勘違いされるような発言をしてしまった。後に騒動を招くかもしれない誤解につながる発言をしたことは事実なので、それはこういう意図があって発言したんだということを説明するために会見を行った。私は単なる講師ではなく運営する企業の代表でもあり、その立場としても説明する責任があると考えた。

 ──責任の取り方として、3月いっぱいでD組を閉校し、高橋氏自身が業界から引退することを決めているというのは本当か。

 高橋 本当だ。

 ──漏えいしておらず、企ててもいないとすれば、そのような責任の取り方をする必要はあるのか。

 高橋 この件について多くの人に迷惑をかけた。本件をきっかけにD組をやめるなどして仕事に大きな影響を受けた講師もいる。D組が疑惑の対象となった結果、一緒に生徒たちを指導してくれた講師たちには、D組で働いたことが後々までつきまとうかもしれない。また、D組に通っていた生徒のなかには、大学から聞き取り調査を受けた生徒もいると聞いている。そのように大変な迷惑をかけたことに対して責任を感じている。私が今後もこの業界に残れば不快な思いをする人もいると思う。よって業界を引退するという決断をした。また、在籍している講師の給与については3月分まで支払いを行っている。

 ──今回、疑惑の対象となった大学に限らず、試験問題の作成の委託を受けたことはあるか。

 高橋 試験問題の作成にかかわったかどうかを明かすことは、どの大学であっても守秘義務違反にあたるため回答することはできない。また、試験問題への関与には、問題作成ばかりでなく、事前の校正などさまざまなレベルでの関与があり得る。よって「関わっていない」ということも含めて回答することはできない。

 ──D組を閉校するということは、運営会社である(株)D組も清算するのか。

 高橋 予備校としてのD組は3月いっぱいで閉校することはたしかだが、会社についてはその他にもさまざまな問題が絡むので同時に清算するわけではない。現時点では何もいえない。

 以上のように、当社の取材に対して、高橋氏は疑惑を否定した。

 だがD組周辺を取材したところ、疑惑にかかわる資料の存在を確認した。

 続く記事ではその資料について説明する。

※注 D組の公式ホームページは3月14日の夜からメンテナンスモードに入っており、現在は見ることができない。 ^

(つづく)

【寺村朋輝】

法人名

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