【読者投稿】福岡市批判は一面的ではないか 都市比較に必要な歴史と文化財行政の視点

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 今回は、「福岡市政に10の提言(2)とにかく「軽く」て「浅い」福岡!(前)建築が語る都市の劣化」についての読者のご意見を紹介する。

 当該記事を読んで、全体として福岡市への否定的な評価が強く、やや一面的ではないかとの印象を受けた。他都市との比較は有効な視点ではあるが、それぞれの都市には、江戸時代以前から積み重ねてきた歴史や都市形成の経緯、観光政策の違いがある。そうした背景を踏まえず、単純に比較することには慎重であるべきだと思う。

 福岡市についても、博多旧市街の取り組みや、舞鶴公園・大濠公園の再整備など、歴史や景観を意識した施策は進められている。古い建築物が失われたことを問題視するだけでなく、それを保存・再利用する場合にどれほどのコストがかかるのか、面積に限りのある都市のなかで何を残し、何を更新するのかという現実的な選択の問題も考える必要があるのではないか。

 ザ・リッツ・カールトン福岡をめぐる記述についても、大名という地域性や再開発全体の設計思想をどう評価するかという視点が欠かせない。今後、大手門に建設されるインターコンチネンタルホテルが入居予定のビルは、また異なる趣になるだろう。外観保存や歴史的建築物の活用を論じるのであれば、現在の都市機能や民間投資との兼ね合いも含めて検討すべきであり、単なる印象批評にとどまってはならないと思う。

 また、田中丸氏のコレクションについては、かつて北九州市が受け入れず、福岡市美術館などが収蔵するかたちになった経緯があると理解している。この点を踏まえると、文化財や美術資料に対する姿勢を問われるべきなのは、福岡市だけではないのではないか。北九州市においても、門司駅関連の遺構をめぐる問題など、都市の記憶や文化財をどのように扱うのかという課題がある。

 当該記事の筆者は、福岡市を「フロー中心」の都市として批判しているように読めた。しかし、過去の遺産や文化財を都市開発のなかでどう位置づけるかという問題は、福岡市だけでなく、北九州市を含む各都市に共通する課題である。だからこそ、特定の都市を引き合いに出して福岡市を批判するのであれば、その都市自身の文化財行政や歴史的資産の扱いについても、同じ基準で検証する必要があるのではないか。

 福岡市の都市政策に課題がないとは思わない。しかし、都市の歴史、産業構造、民間投資、文化施設の整備、建築物の保存コストなどを踏まえずに、福岡市を浅い都市として断じるのは早計だと感じた。福岡市の問題点を指摘するのであれば、他都市との比較も含め、もう少し多角的で具体的な論考を期待したい。

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