時代とともに変わるお正月の風景(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国、中国、台湾などは旧暦で新年を祝っている。今年の場合、韓国では2月15日から17日がお正月で、18日が日曜日だったため、4連休になった。韓国では日本のように大型連休が多くないため、4連休というのは、どちらかというと、大型連休に入る。韓国政府は旧正月をなくし、1月1日を正月にしようと試みたが、ついに実現できず、結果的に今でも韓国では旧正月が本当の正月である。
そのため、韓国では普通12月31日まで仕事をし、1月1日は1日だけを休み、また1月2日から仕事を始める。もちろん新しい年の始まりである1月1日に、新年の挨拶は交わす。しかし、今年のように2月半ばに旧正月が来る場合、新年から1カ月半も経過して、みんな新年の挨拶を交わすことになる。
習慣というのは怖いもので、二重に正月を迎えることはおかしいと反対を唱える人がいても、お正月が1月1日に変わることはなさそうだ。家族または血のつながりを大事にする韓国では、旧正月は日本に比べて、盛大で、多くの人が故郷に帰省するので、列車のチケットは数カ月前から予約しないといけないし、高速道路は大渋滞に見舞われる。それでも、そのような苦労をものともせず、喜んで帰省したりしている。
筆者の子どものころの記憶ではあるが、韓国はその当時貧しかったため、正月に年中行事として服を買ってもらったし、お正月は普段は絶対食べられないいろいろな料理が食べられる時でもあった。また子どもにとっては、お年玉をもらって、平素ほしいものを買ったりしていた。韓国のお正月の期間は、ほぼ3日間であるが、初日がお正月の料理を準備するための日で、次の日が本当の意味のお正月で、その次の日は休憩となる時間だ。
日本では、お正月にはお雑煮を食べたり、おせち料理を食べたり、初詣に出かけたりするが、韓国では、料理を作って、一緒に食べ、その後、家庭によっていろいろな過ごし方をする。韓国のお正月の料理といえば、定番料理はお雑煮である。韓国ではお雑煮のことをトックッという。米粉を練って作ったおもちを棒状に伸ばし、それが硬くなったら、斜めに薄く切ったものをお雑煮にいれる。スープは牛肉や鶏肉を使ってつくる。それに、いろいろな具をトッピングしてお雑煮をつくる。
日本のお雑煮は地方ごとに色々と特徴があるらしいが、韓国のお雑煮は具の違いはあっても、それほど大きな違いは存在しない。お雑煮は昔はお正月にだけ食べられる特別な料理であったが、今は年がら年中食堂に行けば食べることができるようになっている。お雑煮とともに、おかずとして食べるものとしては、キムチ、チャプチェなどがあるが、ジョンというのも欠かすことができない。
ジョンとはどんな料理かというと、一口サイズの野菜や魚介、肉などの食材に、小麦粉と卵の衣を薄く絡ませて焼いた料理である。日本ではチヂミという単語で知られている料理である。チヂミという言葉は、もともと今冬季オリンピックが開催されている江原道(カンウォンド)の方言だという。今でも慶尚道ではチヂミという。しかし、ソウルとか全羅道(ジョンラド)では、ジョンが一般的である。ジョンには生地に使われる材料や具によって、いろいろな種類がある。野菜、肉、魚介、きのこなどを使ったジョンは、日本人にも人気のある料理だが、お正月料理にも欠かすことのできない大事な料理である。
(つづく)
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