「脊振の自然に魅せられて」 『マンサクの花』マンサク科 落葉小高木
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マンサク(満作)の名前の由来は、いち早く春を知らせることから『まずさく』がマンサクになったとも言われています。
花がたくさん咲けば豊作、少なければ不作など、稲の作柄を占う植物として古くから人との深いつながりをもっていました。豊年満作につながる花でもあるのです。
幹は細くて背丈の高い樹木で、幹の上部に地味で黄色のよじれた小さな花びらをたくさんつけ和菓子の上の飾りのように見えます。園芸種と違って、花びらは幾分小さく咲いています。
脊振山系では、この花はなぜか北側斜面(福岡県側)の季節風が当たる側に自生しています。早良区椎原登山口から気象レーダーのある車谷の登山道沿いや、鬼ヶ鼻岩あたりで見ることが出来ます。
周りの樹木も落葉し、青空に幹が吸い込まれているので、マンサクの地味な花はよく見上げて探さないと見逃してしまいます。
3月末ごろから4月始めに、登山愛好者がこの花を求めて登って来ます。ある日、この花を求めてシニアの10名くらいのグループにすれ違いました。
『花は咲いとらんやったねー』と、やおら、鬼ヶ鼻岩のうえで各人がコンロをだしバーベキューを始めました。一帯は焼肉の匂いが充満し始めました。『私は咲いていましたよ』とだけ告げて、その場を通り過ごしました。
山頂でバーベキューをすると匂いを嗅ぎつけて夏には蝿がやってくるし、ゴミも残る。私はそっと鑑賞に来て欲しいと思うし、この光景は山を汚しに来ているように感じたのでした。
マンサクの花はまだ肌寒さを感じつつ、春を告げる花として楚楚として咲いてくれます。こんな花に会いたいと毎年、山旅に出かけます。一人旅の時もあるし仲間との旅もあります。
2018年3月記
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