2024年11月13日( 水 )

豊洲市場、東京地裁が建物の安全性の是正を求める訴えを却下

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 豊洲市場水産仲卸売場棟の構造上の問題(安全性)の是正を東京都に求めていた、構造設計一級建築士らの訴えについて、東京地裁は3月28日付で却下としていたことがわかった。

 この訴訟を提起したのは、福岡県大野城市の協同組合建築構造調査機構および同代表理事の仲盛昭二氏。仲盛氏は、マスコミの依頼で、豊洲市場水産仲卸売場棟の設計図などを検証。その結果、以下の3つの点(関連記事参照)において、構造上の問題があると指摘した。

(1)層間変形角が建築基準法を満たしていない。
(2)有水平耐力計算における係数を不適切に低減しているため、安全が確認できない。
(3)建物1階の柱脚の鉄量が規定の半分程度しか存在しない。

この指摘について、NetIBでは、東京都・小池百合子都知事と、設計を行った(株)日建設計などに質問状を送ったが、仲盛氏の指摘に応じた回答は得られず、事実上、黙殺された状況であった。

 東京地裁は、仲盛氏の指摘には触れず、原告である建築構造調査機構および仲盛氏が、福岡在住であり、豊洲市場が倒壊した場合も影響を受けないため、「本件訴えの利益を有する者とは認められない」とし、訴えを却下とした。

 仲盛氏は取材に対し、「もちろん、直接の当事者ではないことは承知していた。しかし、豊洲市場での日建設計による設計の偽装を見逃すことはできなかった。また、東京都は建築主かつ計画の審査を担当する行政庁でありながら、設計の偽装を見逃した。安全を確保するための是正措置を講じてから移転してもいいはず。大地震が頻発するいま、構造設計の専門家として、再び悲劇が繰り返されることを見捨ててはおけない」とコメント。築地市場で働く労働者ら市場関係者の求めに応じ、講演活動を通じて、危険性を伝えていくという。

【山下 康太】

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