2024年11月28日( 木 )

世界で競争が激化する五感の活性化研究と『香り』のニュービジネス(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年4月20日付の記事を紹介する。


 世界的に人間の感性を高めようとする研究が活発化してきた。かつてインターネットを開発したアメリカの国防総省傘下の「国防高等研究計画局」(DARPA)では脳の視床下部に存在する神経細胞が生み出す「オレキシンA」と呼ばれる神経エプチドに着目し、「兵士が最高レベルの体調を維持しながら作戦遂行が可能になる」ための添鼻薬の研究開発を進めている。こうしたオレキシンをスプレー化した薬を吸引すれば、睡眠が不要となり、人間の活動時間が一挙に拡大するとの触れ込みだ。

 こうした研究を長年にわたり主導している組織がDARPAである。宇宙開発でソ連に遅れをとった、いわゆる「スプートニック・ショック」をきっかけとし、1958年に設立された。「戦場におけるアメリカ軍兵士の技術的優位性を維持する」のが課せられた使命である。まさにSFの世界を現実のものにするため、日夜、研究者たちが凌ぎを削っている。

 その最大の眼目は兵士の肉体的能力の飛躍的向上と判断力の強化にある。コンタクト・レンズにしても、衛星や無人偵察機からの情報を受信できるような工夫が施されたものを開発した。また、必要に応じて、遺伝子レベルでの人体改造にも意欲的に取り組んでいる模様である。

 具体的には、兵士の脂肪分をエネルギーに転換させることで、戦闘中は何日でも食事が要らないようにする。これが可能となると、重たい携行食品を持ち運ぶ必要もなくなり、兵士の行動範囲や戦闘能力が飛躍的に向上するだろう。

 さらなる研究が進んでいる分野が人体蘇生技術である。戦闘中に失った肉体の一部を再生させるというもの。すでに事故で指を失った子どもたちの場合には、その再生手術に成功しており、成人の戦闘員に応用できるものか、その実験が進んでいるとのこと。こうした研究の成果は戦場に限らず、広く一般社会でも生かされるはずであり、その実用が待たれるところであろう。とくに、体内の脂肪をエネルギーに変える技術は、肥満体質に悩む人々やダイエットに苦労する方々にとっては朗報となるに違いない。

 思えば、インターネットにしても、その端緒は米ソ冷戦時代に遡る。ソ連から打ちこまれたミサイルによって米本土の軍事施設が破壊された場合を想定し、残された軍事拠点が素早くコンピュータでつながり、反撃できる体制を組み立てるのが当初の狙いであった。それが今ではわれわれの日常生活になくてはならない通信情報インフラとなっている。バーチュアル・リアリティ(仮想現実)もGPS(全地球測位システム)も同様である。

 そんななか、近年、DARPAが研究開発に力を入れ、すでに着実に成果を上げているのが「睡眠不要剤」である。アメリカ陸軍のヘリコプター・パイロットの間で繰り返し実験が行われている。この錠剤を飲めば、40時間を超える長時間飛行であっても、肉体、精神面ともに正常な機能が保たれることが実証されたという。それどころか、集中力や判断力においては顕著な向上が見られるというから驚く。

※続きは4月20日のメルマガ版「世界で競争が激化する五感の活性化研究と“香り”のニュービジネス(前編)」で。


著者:浜田和幸
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