2024年11月13日( 水 )

【Twitter裁判官】東京高裁・岡口基一裁判官が「外国人を人間と思っていない」と、入管を批判

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 東京高裁の岡口基一裁判官が22日、東京入国管理局が腹痛を訴えるトルコ人男性を放置したことに対して「外国人を人間と思っていない」と投稿した。

 東京入管はこのほか、トルコの少数民族クルド人に対して非人道的な取り扱いをした疑いがあり、支援団体や弁護士らが抗議行動を起こしている。また、茨城県牛久市の東日本入国管理センターでは13日にインド人男性が自殺し、長期拘束を苦にしたことが原因とみられていた。同センターでは15日から、収容者が長期拘束などに抗議するハンガーストライキを続けている。
 内戦や少数民族への迫害などで難民が増加するなか、日本は先進国の中で最低の難民認定率(約0.3%)を維持している。外国人技能実習生に対する奴隷的取り扱いなども合わせて、外国人の人権を軽視している象徴とされ、現役裁判官による「外国人を人間と思っていない」発言は、事態の深刻さをより際立たせたかたちだ。

 岡口裁判官は大分県出身で、大分県立高田高校を経て東京大学法学部卒業。ツイッターによると、長男は東大卒業後にキャリア官僚となり、次男は宮崎大学医学部に在籍しているという。著書の『要件事実マニュアル』シリーズ(ぎょうせい)は実務書としては異例の売れ行きで、弁護士必携の書となっている。
 岡口裁判官が名前を知られるようになったきっかけは、「白ブリーフ」事件だった。ツイッターに自身の白ブリーフ姿を載せていたことなどが問題となり、2016年に高裁長官から口頭で厳重注意を受け、これが複数のメディアで取り上げられて、「お堅い裁判官がなぜ」と話題となった。今年3月には、ツイッターで殺人事件の被害者に配慮のない投稿をしたとして文書による厳重注意処分も受けている。

 いったいどんな人物なのか。福岡県弁護士会に所属する若手弁護士は、岡口裁判官のことを「直接は知らないが、うちのボスは良く知っている」としたうえで、「非常に頭が切れて処理能力が高いうえに、人望のある方だと聞いています。『あるべきエリートの姿』だそうです」と話す。「ネット上での言動は、岡口さんなりの問題提起だと思います。好き嫌いはあるでしょうけど、私は応援しています。白ブリーフは趣味に合わないけど……」(同)。
 岡口裁判官の母校の高田高校と同窓会事務局は、個人情報保護を理由に取材に応じなかった。同高を卒業して北九州市内の大学に通う男性は、「OBに偉い裁判官がいるという話は聞いたことがあります。でもOBの活躍は『お前らもやればできる』ってなるから、正直いい迷惑かな(笑)。雲の上の話だから実感はないですね」と話す。

 いま、司法は政権の補完機能としての役割をはたしており、信頼は大きく揺らいでいる。昨年の衆院選では最高裁判事の経歴隠蔽疑惑も浮上した。衆院選と同時に行われた最高裁判事の国民審査で、木澤克之判事の経歴に隠蔽があると指摘されたのだ。木澤判事は加計学園理事長の加計孝太郎氏と立教大学の同窓で、加計学園監事を務めていたこともあるが、国民審査の広報ではその経歴が削除されていた。
要するに、「政権の番犬」化が一層進行しているといっていい。これだけ政権の不正、腐敗が明らかになっても支持率が30%代から落ち込まないのは、司法がその役割をはたしていないことに対するあきらめが国民に蔓延していることと無関係ではないだろう。

 法務省から目をつけられすぎて、「いつ弁護士へ転身するのか」も注目される岡口裁判官。その経歴やキャラクターから、大手事務所に所属したうえでタレントとして活躍することも十分に可能だ。しかし、それはあまりにももったいない。
 岡口裁判官は「(ツイッターでは)職業は明かしていない」とするものの、ネット上での発言が黙認されているのは、司法が「自由」の意味をかろうじて理解していることの証ともいえる。岡口裁判官がいなくなることは司法がまた一歩国民から遠ざかったことを意味し、大げさにいえば白ブリーフが見られるかどうかは、裁判所が民主的かどうかのめやすになりはしないか。
 いつまで、凛々しい白ブリーフ姿が見ることができるのか。岡口裁判官を要チェックだ。

 

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