期待が高まっている南北経済協力(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
4月27日に11年ぶりに行われた南北首脳会談が終わった。その後、6月に予定されている米朝首脳会談に向けて韓国を始め関係国による水面下の調整が活発に進められている。米朝首脳会談では先の南北首脳会談で打ち出した「完全な非核化」という目標について、その実現方法を明確にし、合意できるかが最大の課題となる。
米韓は2020年ごろまでの2年以内の核放棄を念頭に「完全で検証可能かつ不可逆的な核放棄」(CVID)の実現を模索している反面、北朝鮮は段階的な非核化を求めているし、対象に対しても意見の違いがあると伝えられている。今回の米朝首脳会談で、はたして米朝は非核化に合意できるのか世界が注目している。
そのような状況の中で、4月下旬に金正恩委員長は中国を訪問したばかりにもかかわらず中国を再び電撃訪問した。金委員長は5月7日から2日の日程で中国の大連を訪れ、習近平国家首席と会談した。またトランプ米大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との初の首脳会談を6月12日にシンガポールで開くと発表した。このように朝鮮半島の非核化に向けて現在関係国の間で活発に調整が進められている。
朝鮮半島の非核化には課題が多すぎて簡単に進まないとする悲観論がある反面、今回は今までとは違って非核化が実現するだろうという意見も多い。とくに、韓国では南北の関係改善で南北の経済協力が進むことを期待して、株式市場では関連銘柄の株価が値を上げている。
それでは、なぜ今回は今までとは違って南北関係は改善されるというのだろうか。北朝鮮が核開発路線の追求から平和攻勢に転じた理由には、それなりの背景がある。1つ目には、アメリカ政府の政策の変化である。今までの米国の大統領と違って、トランプ大統領は本気で北朝鮮にプレッシャーをかけているからである。ポンペオ米国務長官、ボルトン米大統領補佐官など周囲の人物も皆強硬派で、トランプの姿勢が良く現れている。北朝鮮を動かしている米国のカードは二枚ある。1つは先制攻撃で、もう1つは経済制裁である。いくら世界最強の軍事力を誇るアメリカでも、先制攻撃にはいろいろな課題がある。とくに、核ミサイルを保有している北朝鮮を攻撃したら、北朝鮮も反撃に出るし、米国は無事でもソウル、東京は大惨事になる。このような選択はそれほど簡単ではない。ところが、経済制裁は今後も続けられるし、実は一番効果的な手段でもある。経済制裁で経済が崩壊してしまえば、元も子もなくなるので、今回は金委員長が態度を変えて、核開発を譲歩する代わりに、北朝鮮の経済を開放し、経済をまず立て直すことによって、体制維持を図ろうとしているのであろう。
それに、金委員長はまだ若いので、今後50年間、北朝鮮をどのように統治したら良いのかを考えざるを得ない。核武器だけでは北朝鮮の将来が保証されるのは難しいと判断したのではなかろうか。さらに、金委員長は海外留学の経験もあるため、祖父や父と違って、外の世界のことを良く知っている。スーパーパワーの米国と対決するよりは、核を武器に旨く活用し、経済制裁を解除させ、経済支援を獲得することで、危機を脱せざるを得ない状況に置かれていることに間違いない。それで今回の会談は今までと違って一定の成果が期待できるとされている。
(つづく)
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