2024年12月23日( 月 )

「脊振の自然に魅せられて」 『ヤブデマリ』藪手毬・スイカズラ科ガマズミ属

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 脊振の山は5月に入ると「山の植物園」のような状態となり、脊振を代表する花、ピンクのミツバツツジやシャクナゲ、純白の花ムシカリが咲き終わったころにエゴの花、ヤマボウシ、ミズキ、ゴマギ、アサガラ、ハイノキなどから白い花が咲きはじめます。
 どの花もそれぞれ美しいのですが、中でも『ヤブデマリ』は枝に沿って縦一列に純白の花を咲かせます。まるでレストランのウエイターが数人分の料理の皿を片手に載せているような咲き方です。
 すべての枝に見事というしかないほど多くの花をつけています。花びらも面白いかたちをしています。5枚ある花びらのうち、手のひら状の中心部の一枚だけが極端に小さいのです。花びらを5人兄弟に例えると、生まれたばかりの末っ子が真ん中にいるようです。沢沿いを好む樹木で、ヤマボウシ同様、上むきに花をつけていますので、遠目に見た方が花の観察ができます。

 今月19日、椎原登山口から矢筈峠に向かう車谷で濃い霧の中(ガス)に白い花で着飾った1本の樹が目に飛び込んできました。ヤブデマリです。まるで美しい女性が、沢のなかに咲くヒメレンゲの黄色い絨毯のうえで、純白のベールをまとっているようでした。幻想的で感動的な光景です。
 緑の葉と白い花のコントラストも見事でした。秋には赤い実がなります。

 山歩きにはいろいろな楽しみがありますが、ただ山頂を目指す山歩きより、季節の花を愛でながら歩くのが最高の楽しみだと思っています。
 来年も花の恋人に会えるのを念じながら年を重ねており、山歩きの楽しみが私の健康の秘訣でもあります。

見事なヤブデマリ

ヤブデマリのアップ写真

霧のベールに包まれたヤブデマリ

2018年5月23日記
脊振の自然を愛する会:代表 池田 友行

 

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