活性化するはずが…。テナント続々退店~久留米シティプラザ
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2016年4月にオープンした複合型施設「久留米シティプラザ」でテナントの退店が目立っている。来場客数に“水増し疑惑”をもたれるなど、地域の活性化につながっているのか疑問符が付けられている施設でもある(詳細はコチラ)。
開業から2年が経ち施設は空きが目立つ状態となっている。今年5月までに、ハンバーガーショップ「アメニータ」、地元老舗靴メーカーのムーンスター「コンセプトギャラリー」の2店が退店。16年12月に梅の花が経営していた鉄板焼の店「六角庵」、昨夏には定食屋「満天」がそれぞれ閉店している。
一方で、六角庵の跡に6月3日、小川楽器久留米店が移転オープンするといった明るい話題もあるが、開業当初に10カ所あったテナントのうち4カ所が空いている事態となっている。開業当初から一部のテナントから、「イベント時しか客がこない」「当初の話とはかなり違う」といった声が聞かれていた。隣接する六ツ門アーケード商店街は平日の昼間は、相変わらず人通りがまばら。“子どもたちと、まちと、文化の明日を元気にするために生まれた”施設として開業したはずなのだが、とても活性化につながっているとは思えない。
今年1月の市長選挙で楢原利則氏の後継者として当選し、新市長となった大久保勉氏は、4月2日の定例記者会見で久留米シティプラザの市の2017年度の財政負担額が10億8,800万円であることを発表した。市によると、17年度の歳出が約8億5,400万円。歳出の内訳は施設管理費、事業費、広報費、人件費など。一方で、チケット収入、施設利用料、テナント料などの歳入は、約1億4,200万円にとどまるとしている。
歳出から歳入を差し引くと約7億1,200万円となるが、市によると、これに今後30年間にかかる改修費・更新費の年間平均額(約3億7,600万円)を足した10億8,800万円が市の赤字になるという。
年間10億円以上の赤字を垂れ流す施設であっても、大久保市長は任期中の4年間は市の直営を維持することを表明した。市としては、今後、MICE(国際会議や展示会)や大規模イベントの誘致を積極的に行っていきたいとしており、同施設を有効活用したいという考えをもっている。今回、大久保市長が久留米シティプラザの赤字の実態を公表した背景には、自身の責任ではないことを明確にしたうえでの活用法を考えていきたいという思惑が透けて見える。
178億5,000万円の血税を投じてつくった施設で、毎年10億円以上の赤字を垂れ流す施設の運営を維持するのは前市長の失政を継承したことになる。今後、久留米市民の生活にどのような影響をおよぼすのかが注目される。
【矢野 寛之】
<撤退した店舗>
2016年4月 久留米シティプラザ開業、テナント10店でスタート
2016年12月 六角庵 閉店
2017年7月 満天 閉店
2018年3月 アメニータ久留米シティプラザ店 閉店
2018年4月 ムーンスター「コンセプトギャラリー」閉店関連キーワード
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