【千客万来施設問題】亡き父のお告げでアポなし訪問~小池百合子都知事の傲慢
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事業中止の公算大
豊洲市場に併設する「千客万来施設」の事業実施について、優先交渉権者である万葉俱楽部(株)(本社:神奈川県小田原市)は28日、東京都に対して「実施する意思があっても、できない状況にあるとの認識」という旨の回答を行った。東京都は同日を回答期限として、「明確な回答がなければ、事業継続の意思がない」と判断するとしており、事業中止の可能性が高まっている。
東京都の一連の対応について、同社は、不信感を露わにした。問題を大きくしたのは、小池百合子都知事にほかならない。小池都知事は、築地市場の豊洲移転を延期した後、“2017年6月20日”の臨時会見で「築地は守る、豊洲を活かす」として、築地市場を5年後に再開発し、「食のテーマパーク」なる集客拠点を設けるなどとした“基本方針”を発表。事前の相談・協議なく、まさに“寝耳に水”の同社は、事業内容が競合することへの危惧から、この方針への疑問と具体的説明を東京都に求めた。しかし、現在に至るまで、東京都からの同方針に関する説明はなされていないという。
さらに、小池都知事は今年5月1日、「仏壇に手を合わせましたところ、亡くなった父が直接行って話してこいと言っているように思えましたので」と、アポなしで同社を電撃訪問。小池都知事は同社の認識を「誤解」とし、求められている説明に応じなかったという。「『誠意』とはかけ離れた、また、社会的にいう『謝罪』とも違う、不十分なものであったと認識」(同社)と、同社の不信感を強めた。
こうしたなか、東京都は、5月21日付の文書で、1週間以内(同28日まで)に事業実施に関する回答を要求。回答がなければ、事業実施の意思がないと判断するとした。同社は、求めている小池都知事の方針に関する説明に応じないまま、一方的に重要な経営判断を迫るのは、「まったく理不尽なこと」(同社)としている。
同社は、先に選定された事業者((株)喜代村と大和ハウス工業(株)のグループ)の辞退にともない実施された再公募で16年3月4日、優先交渉権者に決定。「千客万来施設」は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承・発展させる」ことを目的とし、計画では、年間来場者数を約200万人と想定。江戸のまちなみを再現した地下2階・地上3階建ての商業施設と地下2階・地上11階(高さ44.8m)のホテルを建設。施設内には、公衆浴場、物販店舗、飲食店、駐車場、託児所、集会場などが設置されるという内容だった。設計をはじめ、すでに10億円以上が投じられたという。
同社は取材に対し、「千客万来施設」への出店の問い合せが、小池都知事の築地「食のテーマパーク」が発表されて以降、激減し、リーシング単価が下がっていることなどから事業実施の可否についての判断が困難であると説明。東京都に対し、小池都知事が臨時会見を行った17年6月20日以前の状態に戻すことを求めているという。
【山下 康太】
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