日台相互理解のさらなる深化を模索する!(前)
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最近の日台関係は今までになく良好といわれる。記者は世界最大級のICT国際見本市「COMPUTEX Taipei 2018」(6.5‐9)で渡台した際、早朝の国立台湾大学 鹿鳴堂内の喫茶店で台湾の未来を背負う若者に話を聞く機会を得た。台湾の若者は今何を考え、どのような将来を見つめているのだろうか。
コーディネートいただいたのは、台湾大学日本研究中心(センター)で外部支援アドバイザーを務める山本幸男氏((公財)日本漢字能力検定協会 台湾アドバイザー・(財)台湾協会 台湾連絡事務所長)である。COMPUTEX視察で来台中の沖縄の公立大学法人名桜大学の清水則之名誉教授にも同席いただいた。早朝8時30分開始にもかかわらず駆けつけてくれた台湾の未来を背負う若者は、王劭宇君、楊岳霖君、杜晴雯さんの3名である。
日本語は日本のテレビドラマを通じて学習しました
――まずは読者に自己紹介をいただけますか。その際、日本や日本語との関係についても触れてください。
王劭宇さん(以下、王) 王劭宇と申します。私は現在国立台湾大学日本語学科の3年生です。父は台湾人ですが、母はマレーシア人です。生家は台中市西屯区にある私立東海大学の近くです。幼少のころから、「春節」(旧正月)には1年ごとにマレーシア、台湾と交互に過ごしていたので、一般的な台湾人に比べれば、国際感覚は磨かれたと感じています。訪日経験は6回あります。昨年は「台日学生会議」のメンバーとして、サマーキャンプで訪日し、河口湖にも行きました。今年から同会議の台湾側の委員長を務めています。
楊岳霖さん(以下、楊) 楊岳霖と申します。私は現在国立台中科技大学応用日本語学科の4年生です。同時に国際貿易論もダブル専攻しています。生家は国際空港のある桃園近くですが、本日は朝一番の新幹線で台中から来ました。大学では日本語ガイドクラブの部長を務めています。昨年は姉妹校でもある、日本の安田女子大学訪台研修団受け入れの際、学生側の団長を務めました。先生と一緒にすべての企画を担当、とても有意義で、楽しい経験をしました。また、昨年は交換留学制度で、日本の島根県立大学に留学し、金融・銀行論を勉強しました。「台日学生会議」には今年からメンバーになりました。
杜晴雯さん(以下、杜) 杜晴雯です。国立台湾大学医学部の1年生です。私の母は台湾人ですが、日本がとても好きです。その影響もあって、幼少の頃から日本のテレビドラマをよく見ており、日本語もドラマを通じて学習しました。母は年に2、3回日本に行っています。私は高校時代に模擬国連のメンバーとして、ニューヨークなど海外に行く機会がありました。今フィギュアスケートをやっているのですが、日本の選手がとても好きです。
「なぜ、こんなにも台湾人は親日なのだろうか?」
――王さんと楊さんは日本語を専攻していますね。なぜ、日本語を専攻しようと思ったのですか。
王 日本語という言語にとても興味がありました。高校の選択科目の第2言語に日本語があったのですが、私は家が遠かったので履修はしていません。とくに先生の指導は受けずに、日本語文法などは自分で整理・学習しました。漫画・アニメなど日本のサブカルチャーはもちろん好きです。しかし、それ以上に、私は言語学そのものに、より興味をもっています。今年10月からは交換留学で日本の東北大学に行くことが決まっています。東北大学では、国語研究室の教授のもとで勉強します。将来的には、大学院博士課程まで進んで、学問の道に入ることを希望しています。
楊 私が日本語に興味をもったのは、日本の3.11(2011年3月11日に発生した東日本大震災のこと)以降のことです。この時台湾から200億円以上の義援金が日本に寄付されました。あまりにも大きな金額だったことに驚き、「なぜ、こんなにも台湾は親日なのだろうか?」と急激に日本に興味をもつようになりました。当時、私は高校1年生ぐらいだったと思います。高校は理系・情報処理系だったのですが、日本のことがもっと知りたくなって、大学は応用日本語学科を選びました。
――杜さんは、日本語専攻ではありませんが、本日参加してくれました。日本のどこに一番興味がありますか。
杜 私は日本に友だちがたくさんいます。その友だちを通じて感じるのは、日本人は優しいし、マナーがとてもすばらしいです。よくいわれるように「おもてなし」の心をもっているのが日本人だと感じています。だから、このような機会にとても興味を覚えたのです。
台湾人の親日感は、少し中国を意識している点がある
――「義援金200億円」の話が先ほど楊さんから出ました。一般的に台湾人は日本人に「親日的」と言われています。この点について、若い皆さまはどのような感想をお持ちですか。
楊 台湾人は親日だと思います。台湾には、日本に統治されていた時代に日本人が建てた建物がたくさん残っています。日本人が建てた台中駅は東京駅にとてもよく似ています。国立台中科技大学も約100年前に日本人によって建てられ、最初の学長は日本人でした。このように台湾人は日本人、そしてその日本人がもたらした文化にとてもよい印象をもっています。私の場合はとくにおばあちゃんが日本人好きだったので、よくその話を聞かされました。
王 台湾人が親日というのは、少し中国を意識してのこともあると思います。今の政府・蔡英文政権は国民党ではなく民主進歩党です。大陸と日本との距離を相対的に見ながら、巨大な圧力を感じる中国との距離よりも、日本との距離をより近くに感じているのだと思います。
(つづく)
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