『脊振の自然に魅せられて』「オオキツネノカミソリ」大狐の剃刀 ヒガンバナ科
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夏を代表する花「オオキツネノカミソリ」が開花する季節がやってきました。
開花時期は7月中旬過ぎから8月初めです。糸島市瑞梅寺ダム上部の水無鍾乳洞駐車場から井原山(いわらやま)登山道沿いの渓谷一帯に西日本最大規模のオオキツネノカミソリの一大群落地があります。
海抜約500mから700m地点の約1キロ近い登山道周辺がオオキツネノカミソリの一大群落地となっています。
オオキツネノカミソリは陽あたりの良い入口付近から咲き始めますが、途中にベンチがある付近は左右に見事な花を一斉に咲かせ、広大なお花畑のようになります。
オオキツネノカミソリはヒガンバナ科ですので開花時期には葉がありません。
毎年、春の息吹を感じ始める2月末ごろに球根から発芽し、4月中旬には見事な葉を広げ、緑の庭園と化します。この葉こそがキツネのカミソリの由来です。
古人は動物をイメージして植物に名前を付けました。タヌキノショクダイ、イヌノフグリ、キツネノマゴ、ネコノメソウ、ネズミモチなど身近な動物の名前が多いようです。
オオキツネノカミソリの“オオ”とは雄しべが雌しべより長く伸びているところからきています。
5月になると葉はだんだん枯れ始め、やがてなくなってしまいます。そして開花準備に入り、7月になると発芽、夏の兆しを感じる7月中旬過ぎから開花し始めます。
開花が終わると結実して、実は緑からやがて黒くなり、種を飛ばして子孫を増やすのです。15年くらい前までは、この球根の盗掘も多く、現在、地元の「糸島瑞梅寺オオキツネノカミソリを守る会」の皆さまが警告看板や遊歩道の整備、ベンチの設置などをしています。今年2月18日には西南学院大学で開催した脊振サミットで活動報告をしていただきました。
2年前に糸島市が登山者のために船越橋の駐車場と水無鍾乳洞の駐車場に水洗トイレを設置しました。今年は先日の豪雨により林道の一部が土砂崩れを起こし、しばらく入山できない状態です。糸島市のHPで確認してください。
水無鍾鍾乳洞は福岡近郊では大きな鍾乳洞です。入り口は危険防止のため閉鎖されていますが、入口付近に立つと夏は冷風が汗にまみれた体を冷やしてくれます。
オオキツネノカミソリについては2014年7月にもエッセイを掲載しましたが、今回改めて掲載しました。オオキツネノカミソリの開花を、私を含めた多くの人たちが楽しみにしています。
2018年7月13日
脊振の自然を愛する会 代表 池田 友行
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