2024年11月22日( 金 )

中内ダイエーなくして、福岡がここまで発展することはなかった(17・終)~中内氏の夢の跡・生まれ変わる地行浜エリア(後)

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11月開業予定の「MARK IS 福岡ももち」

 工事柵壁面には「MARK IS 福岡ももち」の
 完成イメージパースが

 三菱地所は2016年10月、大型商業施設と地上28階建のタワーマンション2棟とで構成される「ホークスタウンモール跡地複合再開発計画」を発表。17年6月に商業施設棟の建設に着工した。

 商業施設の名称は、同社の基幹商業施設ブランドである「MARK IS(マークイズ)」を冠した「MARK IS 福岡ももち」で、同ブランドとしては「MARK IS 静岡」(静岡市、13年4月開業)、「MARK IS みなとみらい」(神奈川県横浜市、13年6月開業)に次ぐ3施設目。本体棟・地上4階、アネックス棟・地上8階の延床面積約12万5,000m2、店舗面積約4万8,000m2と同社グループの商業施設でも最大級であり、天神以西では福岡市内最大規模の商業施設になる予定となっている。
 開発コンセプトは「モモチゴコチ~まいにちも、とっておきも~」で、シーサイドももちの立地を生かしつつ、周辺エリアと一体となった街並みや臨海エリアとしての空間づくりを目指していくとしている。また、施設南東側の既存の歩道橋とは2階部分で接続するほか、隣接するヤフオクドームまで直結するペデストリアンデッキも整備される。店舗構成ではファッションや飲食、雑貨などを始め、さまざまな機能をもつ150~200店舗を誘致するほか、ホークスタウンモールの核テナントだったシネマコンプレックス「ユナイテッド・シネマ福岡」やライブホール「Zepp Fukuoka」などが入居予定。ファミリー層を中心とした幅広い客層をターゲットに、上質な日常を実現する居心地の良い商業施設を目指していくとしており、今年11月予定の開業に向けて現在、工事が着々と進んでいる。

 また、「MARK IS 福岡ももち」の隣接地では、WEST棟(292戸)とEAST棟(292戸)の2棟からなる地上28階建・総戸数584戸の「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」も計画・進行している。WEST棟はすでに工事が着工しており、竣工は19年12月を予定。EAST棟の竣工は20年度下期の予定となっている。この「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」が完成すれば、これまであまり人の住んでいなかった地行浜エリアに、大規模な住空間が確保されることになる。

アクセスと住空間、かつての課題は解消なるか

 かつての「ホークスタウンモール」は、ドームでホークスの試合やコンサートなどのイベントが開催される際には大勢の人で賑わっていた半面、それ以外のときは、各施設とも閑古鳥が鳴くような状況が続いていた。その原因として挙げられるのは、同地のアクセスの悪さと住空間不足だろう。

 まずアクセスだが、同エリアは最寄りとなる地下鉄・唐人町駅からでも徒歩10分以上の距離にあるうえ、イベント時には周辺道路の混雑が常態化しているなど、車でのアクセスも決して良いとはいえない。ホークスの試合終了後に、ドーム前でバスを待つ長蛇の列に遭遇したことのある方も多いだろう。商業施設にとって、このアクセスの悪さは致命的だ。
 また、イベント時などに瞬間最大風速的に大勢の人が集まるのも結構だが、商業施設としては、あまり偏ることなく常に一定の賑わいがほしいところ。となると重要なのは、日常的に利用できる施設としての存在感をいかにして発揮できるか。そのためにはやはり、周辺に住む住民をどれだけ取り込めるかがカギとなるが、もともとの住民の数に限りのある地行浜エリアでは、これまでは取り込む母数が限られてしまっていた。

 今回の地行浜再開発では、福岡市交通局が周辺の交通混雑緩和策を打ち出しているほか、開発により施設内駐車場の拡大も予定。また2棟のタワーマンション開発により、600戸近くの住空間も確保されることになる。かつての「ホークスタウンモール」が抱えていた課題のいくつかは、ある程度解消されてくると思われる。
 今後、三菱地所グループの総合力・ノウハウを生かした商業施設とタワーマンションの複合開発が進むことで、同エリアの恒常的な賑わいを創出し、地行浜周辺エリアだけでなく福岡市全体の発展に寄与する、新たな都市空間が生まれることを期待したい。

建設が進む「MARK IS 福岡ももち」
(今年5月中旬撮影)

 

ドーム側からもペデストリアンデッキで
直結する

 

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 全17回にわたるシリーズで、アジアの拠点都市・福岡を創った立役者であるダイエー創業者・中内功氏の足跡や功績を振り返ってきた。こうして見てきた限り、中内氏が経営者・事業家としてずば抜けて優れていたことはもはや疑いようのない事実であるし、その類まれなる情熱の下、ここ福岡の都市形成にも多大な影響をおよぼし、その遺された経済遺産が、今なお多くの経済的・文化的な恩恵を福岡の街に与え続けているということに、ただただ敬服するばかり。中内氏は間違いなく、今の福岡の発展に貢献した“五賢人”の1人だ。

(了)
【坂田 憲治】
(シリーズ・終)

(17・前)

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