業界の状況と企業の立場を理解する
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イノベーションの加速化により、企業を取り巻く環境も大きく変化しています。大企業でも油断をすれば、すぐに業績が急降下します。それほど変化のスピードは凄まじく、各企業は適応と自己変革を迫られています。10年前に東芝やシャープという日本を代表する企業の衰退を予測していた人は皆無でしょう。激変の時代を生き延びる会社かどうかを見極めるためには、業界の状況とその企業が置かれた業界内でのポジションを把握する必要があります。
16年4月に電力の小売が自由化され、17年4月にはガスの小売が自由化されました。もともとは既得権に守られた業界であり、各地区にその地域を独占する企業が存在する業界でした。電力やガスは、社会インフラを担う重要な産業でもあり、それぞれの企業が地場の有力企業として君臨することができたのです。ところが法律が改正され市場原理が導入されると、それまでの構図が崩れていきます。棲み分けで安定した利益を上げていた企業も、厳しい顧客の争奪戦を余儀なくされるのです。
ここで理解しておくべきことは、地場の有力企業であっても業界内で有利なポジションにあるわけではない、ということです。業績が安定していたのは、あくまで業界内での棲み分けの結果であり、自由競争となれば状況が変わります。地場有力企業の地位にいた企業も、業界内の他地区のさらに大きな企業が競合相手になると、弱者の立場に転落するのです。エネルギー業界は差別化が難しい業界でもあり、今後は大が小を飲み込む業界再編が進む可能性を否定できません。
また、それまでの安定した立場から、大企業病を患っている可能性もあります。地場を代表する有力企業の社風は、往々にして大企業的です。こうした体質は、業界内での立場が変わっても、なかなか変わらないものです。長年にわたって染みついた習慣は、払拭するのに相当な時間と覚悟を要します。こうしたことから、業界の状況とポジションの把握が重要になるのです。
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