大塚家具親娘対決の根源~一族の資産管理会社「ききょう企画」にあり!(前)
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自力再建が困難になっている大塚家具の身売り交渉が難航している。8月14日の2018年6月中間決算の席上で、支援企業の発表があると思われていたが見送られた。大塚久美子社長の処遇をめぐって交渉が暗礁に乗り上げたと報じられている。親娘の骨肉の争いから3年余、経営危機が一段と深刻化した。創業者による事業継承の典型的な失敗例となった。
身売り交渉が難航
「『健康に気をつけて』というだけです。電話一本で相談でもしてくれればね・・・。相談があれば助けられた。親バカですね。親って本当にバカなんですよ」(朝日新聞8月5日付朝刊)
大塚家具の創業者、大塚勝久氏(75)が、娘で現社長の大塚久美子氏(50)に声をかけるとしたらと記者に聞かれ、述べたものである。同社は8月14日に開示した決算短信に、企業としての存続に疑義が生じたことを示す「継続企業の前提に関する注記」を初めて記載した。監査法人が抜本的な経営改善策を講じなければ、破綻する恐れがあると警告を発したということ。身売り交渉がまとまらなければ、民事再生法もあり得る事態だ。
勝久氏は3年前に会社を追われたとき、経営危機がこれほど深刻化するとは、想像もしていなかっただろう。「事業継承に失敗した」と無念さを噛みしめているにちがいない。資産管理会社「ききょう企画」の経営権をめぐる争い
大塚家具の骨肉の争いの実態は、大塚家の資産管理会社「ききょう企画」の経営権をめぐるものであった。当時、大塚家具の株式は、勝久氏が発行済み株式の18.04%を保有する筆頭株主。2位は一族の資産管理会社、ききょう企画で9.75%を握る。株主には、久美子氏ら5人の兄弟姉妹が顔をそろえていた。
2014年1月、ききょう企画の取締役会で、取締役で長男の勝之氏と監査役で母の千代子氏が解任された。ききょう企画側に残ったのは、5人の兄弟姉妹のうち、長女の久美子氏のほか久美子氏の弟・妹である。大塚雅之氏と大塚舞子氏が取締役に、佐野(旧姓・大塚)智子氏が監査役に就任した。大塚家は「父・母・長男」と「長女を含むその他妹弟」に割れた。
これがやがてワイドショーで取り上げられるほどのお家騒動に発展する。15年3月、長女の久美子氏が株主総会の委任状争奪戦で父・母・長男連合を打ち負かし、社長の座を得て、父は会社を離れることになる。(つづく)
【森村 和男】
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