中国経済新聞に学ぶ~中国反撃 天然ガスで米国に報復へ(後)
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シェールガス革命により、アメリカの原油・天然ガスの輸出能力は大幅に上昇し、2018年のアメリカにおける原油の生産量は1,059万バレル/日まで上昇した。現在、アメリカの原油企業による輸出量は1日当たり150~200万バレルであるが、2022年には約400万バレル/日まで上昇し、世界一のエネルギー輸出大国になると見られている。
船によって輸送される液化天然ガスが中国のエネルギー輸入の新しい方向となっているが、トランプは以前から経済優先の原則にのっとり、収入と雇用の増加のため石油・天然ガスの輸出を奨励しており、中国を重要なエネルギー輸出市場と考えている。2017年11月、トランプが訪中した際、アメリカと中国は2,500億ドルのエネルギー投資契約を結んでいる。3月には、アメリカ商務長官・ロス氏からも、中国はアメリカの液化天然ガス輸入を通して莫大な貿易黒字のバランスを取ることができ、それと引き換えにアメリカが関税を撤廃することが示された。5月19日に米中から貿易戦争を一時休戦する共同声明が出された際、エネルギー輸入を優位に増加させ、貿易格差を解消する旨が示されている。このような背景のもとで、中国がアメリカの液化天然ガス及びエネルギー輸入の関税を引き上げることは、中国は留易戦争で妥協するつもりがないという態度を示している。トランプが中国製品2,000億ドルの関税を引き上げるという返答を行ったことからも、中国の反撃が少なからず痛手となっていることが分かる。
ホワイトハウスは中国政府の反撃の意志を甘く見ている。ホワイトハウス経済委員会ラリー・クドロー主任は、中国経済は様々な問題を抱えているため、アメリカに対して強い反撃はできないと考えていた。彼はこのように考えている。アメリカのエネルギー輸出に対する関税の発動は、中国に対してもある程度の代価を要求するものであり、中国の消費者はより高い値段で石油・天然ガスを購入することになる。また、高額の関税に対してアメリカのエネルギーサプライヤーが中国への原油輸出を減少させてしまえば、中国の原油不足問題の解決には不利である。
中国がエネルギー関税を引き上げれば、アメリカのエネルギー企業のコストが上昇し、利潤が減少する。これらのエネルギー企業が利益を失えば、彼らはアメリカの貿易戦争政策に圧力をかけ、トランプもやりづらくなるだろう。原油・天然ガスなどの重要なエネルギーの需要が逼迫しか状況で、それでも中国がアメリカに対し関税で脅しをかけるのは、貿易戦争でアメリカとやりあうという決心を表し、また「アメリカが貿易戦争で譲歩しないのなら、中国もアメリカのエネルギー貿易に利益を与えない」「自分が傷ついたとしてもトランプに打撃を与えてやる」というメッセージを伝えている。
中国政府側が発表した今月23日から25%の関税を課す商品リストに、石油と天然ガスはまだ入っていないが、北京からの情報によると、中国政府はすでに次の「逆襲手段」の用意ができているという。
(了)
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