【『北方ジャーナル』記者の被災地ルポ(7)】「家があるほうが大変だ」大通公園・ホームレスの達観
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札幌の中心部で30年以上にわたってホームレス生活を続け、「ネコさん」の愛称で知られる男性(65)は、大通公園のベンチでその瞬間を迎えた。すぐに地震がきたとわかったが、とくに感慨はなかったという。目が覚めてしまったので身を起こし、そのまま夜明けまで起きていた。
「普段も10時ごろには寝て、5時には起きてるから。地震はまあ、ただ『揺れたな』と。たいしたことなかったですよ。こないだの台風(札幌に上陸した21号のほうがすごかった。テレビ塔、倒れるんじゃないかと思って」
地震では、混乱に乗じて物を盗られるなどの被害もなかった。その日の午後には会社勤めをしている知人がおにぎりを差し入れてくれたが、それがなくても普段から備蓄には事欠かない。大きな荷物のなかには、4L入りの焼酎などもある。普段から利用している地下街のトイレは、地震当日も通常通り使うことができた。週に何度か支援団体の炊き出しや差し入れがあるためか、避難所を訪ねて食糧を分けてもらうなどの考えはないようだ。
「心配は、タバコの手持ちが減ってきたことぐらい。こういうこと起きると、かえって家をもってる人の方が大変なんじゃないの」
飄々とうそぶき、ネコさんは梅の実を何個も漬けたカップ酒を口に運んだ。
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