貴乃花親方辞職事件の真実(2)
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青沼隆郎の法律講座 第16回
法律アレルギーと報道姿勢
事件の本質的理解のためには、国民のなかに蔓延する「法律アレルギー」の治療が必要である。報道はすべて法律問題を法律専門家に丸投げする人々によるものが大半であるため、結局、想像を基に議論しており、ほぼ、すべて個人的「感想」である。それも右から左、上から下まで、大きな振幅のなかにあるため、結局、一番インパクトのある人物の意見が国民に浸透してしまう。
この浸透現象が自然な現象であれば良いのだが、実は報道機関のそれぞれの政治的思惑による加工によって一定の方向性をもっていることが、実は大問題である。そのため、報道機関によっては、最初から一貫して、虚偽報道を平然と行うもの、論理性の欠如にも鈍感なものもある。とくに、相撲記者クラブのベテラン記者の解説は、ほとんど、法制度の無知や、本人の素養不足による感想意見が公然と垂れ流されており、長年の相撲記者の経験が本当に一連の事件の「正しい解説」となり得るかを国民は理解する必要がある。
とりわけ法律的な問題に、法律知識とは無関係な相撲報道記者に解説させること自体が不条理という他ない。あからさまに相撲協会よりの解説をする某有名女性レポーターが何の根拠もなく断定的見解をテレビで垂れ流しており、報道の姿勢として、これでよいのだろうかとの強い疑念を禁じ得ない。
この女性レポーターは30数年、相撲報道にたずさわってきたという経歴だけが、その断定的見解の「信憑性」を支えている。中身はそっちのけである。この種の記者の見解には、体験事実の客観的事実報道と、単なる個人的見解・感想が、実に混然一体となっている。それだけに極めて品質が粗悪で、害悪でさえある。これが大した批判もなく大通りしているのだから、実に残念なことである。この女性レポーターいわく「貴乃花親方は圧力を受けたと主張されていますが、圧力などなかったと思います」とコメントした。当事者でもなく、当事者の体験現場に同席したわけでもない人が、なぜこのような感想・意見をいえるのだろうか。これに関連して、評議員会議長を退任した池坊女史は、報道機関の取材に対し、同じく貴乃花親方の圧力発言について、「協会には圧力をかけるような人はいない」とコメントした。このような人々が寄って集って貴乃花親方を「攻撃」しているのが、貴乃花親方辞職事件の一面の真実である。まともな法治国家の報道といえるのだろうか。
某女性レポーターは協会に協力的な報道・意見を述べることで、そのレポーターの地位が約束、優遇されているという意味で、重大な利害関係者である。
池坊氏は評議員会議長として法律的には極めて重大な違法手続で貴乃花親方理事降格処分を議決した。これまたある意味、重大な利害関係者である。共通する違法原因は「ともにまったく法的素養に欠けている」ことである。それゆえ、ほとんど無価値のコメントとなっている。これを報道する報道機関の世論誘導の意図は明確であり到底、公正な報道とはいえない。
(つづく)
<プロフィール>
青沼 隆郎(あおぬま・たかお)
福岡県大牟田市出身。東京大学法学士。長年、医療機関で法務責任者を務め、数多くの医療訴訟を経験。医療関連の法務業務を受託する小六研究所の代表を務める。関連記事
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