2024年11月13日( 水 )

業界に新風、年に2店舗以上出店し年商500億円を目指す(後)

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(株)フードウェイ

新卒は1年間、現場で研修して教育

 ただし、出店するためには箱(店舗)だけつくれば良いというわけではない。そこで働く人が必要なのはいうまでもないが、同社の人材教育はどうなっているのだろうか。この点について後藤専務は次のように話す。

 「新卒は高卒、大卒ともに採用しています。高卒、大卒と混じることによってお互い競争心が生まれるので、この方針は今後も変えません。採用後は高卒、大卒関係なく1年間、研修することにしています。3カ月ごとに部署を変えて現場の仕事のほとんどに触れさせるのです。たとえば、肉売り場や魚売り場では肉や魚を捌かせたり、質を見る目利きをさせたり。接客やレジ打ち、商品の見せ方を工夫しながら商品を並べさせたりもして、スーパーマーケットという仕事をまずは体験させています。研修後は適性に応じて配属しますが、昇進は学歴など関係なく本人の実力次第にしています。今は人手不足なので、新卒でも現場にすぐ出したいというのが本音ですが、先々、弊社を背負って立つ人物に育って欲しいという願いもあってぐっと我慢しています(笑)」。

 この研修制度を導入して6年ほど経つが、最初の1年間は戦力として計算できない反面、人件費はかかるため「きつかった」という。ところが、今ではそれがうまく回るようになり、常に2店舗を出せるほどの人材が準備できている。また、1年間の研修で現場を体験させることで離職率が下がったことはうれしい誤算だった。

 同社で毎年採用する新卒者は20名前後。30名ほどをコンスタントに採用できれば理想的だそうだが、スーパーマーケットは、労働時間が長くきついイメージや単に「店の店員さん」というだけの印象が強いため、本人が入社を決めても保護者が反対してほかの業種に流れていくこともあるという。

 「スーパーマーケットでもバイヤーや店舗運営に関する商品開発、販売企画、そのほか店舗開発や総務系など、個人の適正に合わせたいろいろな部署があるとは説明しますが、採用ではいつも苦戦していますね」。

 今後は残業を減らすなど労働時間の総体的な短縮を早急に検討する一方、外国人の採用も積極的に行い、惣菜やベーカリー、肉処理などの作業に当たってもらえればと考えている。

 労働環境面でいえば、この業界でも画期的となる試みに1年前から、取り組み始めた。店休日を月1回、設けることにしたのだ。今までは従業員がそろって休むことができなかったため、慰労会や懇親会、慰安旅行の行事もいくつかのグループに分けて行ってきたが、これからは同期入社の社員同士とか気の合う社員同士などと余暇を楽しむこともでき、社内の結束力が高まることが期待できる。また、店休日前は売上を上げる工夫をすることによって仕事にメリハリがつき、社員に活気が生まれてサービスの向上につながる。

 「スーパーマーケットにとって営業日が1日減ることは、売上の数字的にはとても痛い。でも、それが従業員のモチベーションアップやお客さまへの好サービスにつながれば会社としても大歓迎です。店休日があっても利益が上がる目算が立てば、あと1日や2日は休みを増やしたいと思っているほどです」。

 店舗形態のみならず、労働環境など人事面でも業界に新風を吹き込むフードウェイ。変化する社会の波を受けて激動する小売業にあって、その一歩先を行く経営姿勢から今後も目を離せそうにない。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:後藤 圭介
所在地:福岡市西区小戸3-24-53
設 立:2000年6月
資本金:7,300万円
TEL:092-895-2710
URL:http://www.foodway.co.jp

<プロフィール>
後藤 圭介(ごとう・けいすけ)

 1960年、福岡県生まれ。91年、食肉小売業のミートイン・ハイマートを創業。2000年6月、スーパーマーケット部門を独立させ、(株)ハイマートを設立した。14年3月、社名を(株)フードウェイに変更。紙パックや食品トレーのリサイクル、節電など、環境保護活動にも全社をあげて取り組んでいる。

(前)

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