【続報】産廃不法投棄事件の真相(2)~裁判資料からわかった当時
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佐賀県鳥栖市で産業廃棄物の中間処理場を運営していた(株)北斗が起こした不法投棄問題。事件発覚から4年が経過した今年7月、鹿児島県に不法投棄された廃石膏ボードの処理をめぐり、鹿児島県は北斗に処理を委託した排出事業者に対して自主撤去の方針を照会した。北斗関係者らによる自主撤去が進まないまま、ついにその責任が排出事業者に向けられたかたちだ。鹿児島県は7月末から複数回にわたって、排出事業者向けに説明会を開催。「納得いかない!」と参加者から不満の声が相次ぐ中、説明会では語られなかった事実が判明した。
残された疑問
北斗関係者として、経営責任を認め、撤去に応じると話した薙野・濱野両氏。産廃の不法投棄事件では、その多くが関係者が破産するか、逃げるか。そして、多くの排出事業者である取引先に責任が転嫁される。
この事件は、そうではない。あくまで行政処分に対する審査請求という法的権利を行使し、その結果を待って対処しようとするものだ。「審査請求の決定前に動かないほうが良い」とする弁護士の助言も不自然だとはいえない。
北斗に事前の知らせがないまま、説明会が開催されたことが問題を複雑にしていた。取材班もそうだが、排出事業者も当然、鹿児島県が北斗に説明会の開催を通知しているものだと思っていただろう。それにしても、なぜ鹿児島県は北斗による審査請求を説明会で述べなかったのか。そして、なぜ審査請求の回答に通常の3倍も時間を要しているのか。いくつかの疑問を残したまま、北斗関係者との面会は終わった。
実質運営の役員が裏金づくり
後日、北斗から関連資料を提供してもらった。行政処分に対する審査請求書と原氏を訴えた裁判資料だ。
確かに環境大臣宛に審査請求書が提出されていた。日付は17年5月2日。同年2月に行われた行政処分を受けてのものだ。1年半が経過する今でも、その回答は北斗には届いていないという。
原氏に損害賠償を請求した民事事件に関する資料では、今年3月に判決が言い渡されたことが確認された。
裁判資料を読み解くと、当時の北斗の中間処理施設で何が行われていたのかが、明らかになってきた。原告は(株)北斗で、被告は原英司元取締役。原告が被告に対し約2,425万円を支払うよう求める訴状は16年7月に提出されていた。訴状によると、原英司氏は10年から15年2月に取締役を解任されるまで業務全般を任されていた。原告の北斗には原氏のほかに2名の取締役(薙野氏、濱野氏)がいるが、産廃については知識がなく、実質的に20年以上のキャリアのある原氏が運営していた。
12年5月から14年8月まで、原氏はある人物を介して、枦山隆と谷山達男に廃石膏ボードの処分を委託。原氏は薙野氏にこの処分委託が違法であるのに、適法だと虚偽の説明をし、了解を取り付けた。
裏金づくり、私腹を肥やすために、原氏は実際の廃石膏ボードの処理費用よりも水増しした関係先の請求書を偽造。実際の諸費用との差額をだまし取った。水増しした請求総額は6,177万円、実際の費用は3,751万円でその差額は2,425万円であった。
(つづく)
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