冷静・堅実な視点で時代を見極め、建築現場も経営も強固な地盤を敷く(後)
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(株)ワイテック
豊富な建築工法による提案も、同社の強みの1つだ。似たような施工内容であっても、1つとして同じ工事現場は存在しない。いわばすべての仕事がオーダーメイドだ。「お客さまの最大満足のために、常に複数の選択肢を用意していたい」と話す行武社長。顧客の要望をしっかりヒアリングし、それぞれのメリット、デメリットを説明、どの工法が最も適切か一緒に考えていく。ともに協議したうえで計画される建築物には、建てれば終わり、という半端な考えは存在しない。
地盤改良は建築における最も根本的で重要な工事。建設後も長く頑丈で安心できる建築物であるために、最良の施工を施す必要がある。環境に配慮し、優れた効果を発揮する「HySPEED工法」「GIコラム工法」「スリーエスG工法」は、同社の工法のなかでもとくに好評を得る。高い技術と経験に基づくたしかな提案が相乗効果を生み、よりクオリティーの高い施工の提供を可能にしている。
たとえ直接顧客と関わることの少ない職種でも、仕事の先には必ずお客さまが存在する。顧客ごとに最適な提案・サービスを提供するためには、自社のこと・工事現場のことをしっかり理解しておかなければならない。現場を踏んだうえで営業・経営に臨んできた行武社長は、「現場を知ること」の大切さを誰よりも痛感している。だからこそ、同社ではどの職種であっても入社後約半年間~1年かけて、工事現場で研修を行い、工事の基礎知識を体で学ぶ。
「現場に出ることで、工事の基礎や重要性、大変さだけでなく、自社がお客さまにどれだけ貢献できているかを体感し、自分の仕事に誇りをもって向き合えるようにもなる。最初は不安げな顔つきの新入社員たちもみんな、心身ともに鍛えられ、非常に良い顔になって本社に帰ってきてくれます」(行武社長)。
市場に合わせて柔軟に変化
2020年の東京オリンピックに向けた需要の増加などで、近年全国的に好調な推移をみせる建築・不動産業界だが、すでに陰りが見え始め、いつ急下降が始まるか予断を許さない状況。同業者の多くが事業の未来に不安をみせるなか、同社は「激変の時代」に備え、体制強化に集中する。「今が良くても、5年後10年後はわからず、現状にあぐらをかいていては、生き残れない。企業としての体力をつけ、時代の波に遅れることのないようにアンテナを張っておかなければ」(行武社長)。
時代の変化にともない、顧客のニーズや世間の価値基準も絶え間なく変化する。計画初期では高価値だったはずの新事業や技法が、組み立て半ばで時代にあわなくなり、断念するケースもあるという。しかし、たとえ途中で打ち止めになった取り組みでも「まったくの無駄ではない」と行武社長は話す。「チャレンジにトラブルはつきもの。組み立て中の計画を組み合わせると、高い付加価値をもつ事業が発生することや、途中過程の工法がお客さまに役立つケースも往々にしてあります。さまざまなことにトライしているからこそ、より良い方向に軌道修正することができていると考えています」(行武社長)。
常に市場を見据え、引くときは潔く引きながらも、チャンスは逃さない。一からワイテックを育て上げてきた行武社長の経験と、堅実な経営判断がここでも生きる。
今年4月には沖縄に初進出をはたす同社。開発ラッシュに沸く沖縄で、これまで培ってきた技術を存分に発揮し、九州での基盤を、より強固なものにする。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:行武 志郎
所在地:福岡市博多区博多駅南2-2-7 Blanc・Style博多2F
設 立:1994年4月
資本金:1,000万円
TEL:092-292-1516
URL:http://www.y-tech.biz<プロフィール>
行武 志郎(ゆくたけ・しろう)
学卒後、父が経営する行武通信建設(株)(現・(株)ユクタケ)に入社。現場経験を積み、1994年にグループ企業である(有)ユクタケ(現・(株)ワイテック)を設立、代表取締役に就任。関連キーワード
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