崖っぷちに立たされている韓国の自動車産業(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
現代自動車は米国の市場で11年には5.5%の市場シェアを獲得していたが、17年には4%に落ちている。その理由は為替レートの変動によるもので2007年ごろ、現代自動車のソナタはトヨタのカムリより10%安かったが、14年以降、ソナタはカムリより高くなっている。日本製よりブランド力も品質も劣るのに、価格だけが高くなっているのでは苦戦するのは当たり前である。
中国市場でも同じような現象が起きている。中国市場は現代自動車の輸出の23%を占める大事な市場である。しかし、中国市場で現代自動車のシェアは落ちつつある。現代自動車は一時期中国でかなり躍進した時期があった。2009年ごろは中国市場でGM、フォルクスワーゲンについで現代自動車は3位にランクされ、6.9%のシェアを占めていた。しかし、17年には3.4%までシェアを落としている。現代の車は中国で価格が安い割に、そこそこ性能が良いと評価されていたが、ローカルメーカーの品質が飛躍的に良くなったことにより、中国車のほうが競争力をもつようになってきており、シェア回復は簡単な状況ではない。
現代自動車はインド、ロシアなどの新興国市場で比較的頑張っていた。ところが、新興国の通貨安で新興国への輸出も楽観できない状況にある。しかし、このような外部要因よりも、専門家は現代自動車の危機の原因は内部の要因だと指摘している。
ほかのグローバル自動車会社と研究開発費を比較すると、現代自動車の研究開発費は見劣りする。現代自動車の研究開発費は売上高の2.6%に過ぎないのに対して、フォルクスワーゲンは6.7%、トヨタは3.8%である。また現代自動車の強力な労組組合は同社の競争力低下の要因であると指摘されている。現代自動車の労組は7年連続でストを敢行し、その累積損失額は9兆ウォンに上るようだ。労組は賃金も引き上げ、労務費の比率を引き上げる結果も招いている。
適正な労務費の比率は10%であるのに対して、現代自動車の16年の労務費比率は15.2%となっている。現代自動車の平均賃金を他の自動車会社と比較すると、高コスト構造が見えてくる。現代自動車の平均賃金は9、213万ウォン。ちなみにトヨタは9、104万ウォン、フォルクスワーゲンは8、040万ウォンだ。1台の自動車を生産するのにかかる時間も現代自動車は26.8時間で、トヨタは24.1時間、GMは23.4時間、フォードは21.3時間、現代アラバマ工場は14.7時間となっている。
現代自動車の高コスト構造と生産性の低さが一目瞭然である。そのような中、トランプ大統領のアメリカファースト政策で自動車業界は薄氷を踏んでいるような状況である。また新興国の経済不安定も自動車輸出のマイナス要因となっている。自動車業界には、このような悪材料が山積している中、これを解決するための懸命な取り組みが求められている。現代自動車はこのような時期に、経営者の世代交代が行われ、この難局をうまく乗り越えられるかどうかも試されている。自動車産業に変革が起こるにしても、自動車産業はすそ野の広い大事な産業で、波及効果の大きい産業であることに変わりはない。自動車産業の命運は、今後の対応次第で左右されるだろう。
(了)
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