九州地銀の2019年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する(3)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行の2018年9月期の経営成績順位表である。いわゆる上半期の通信簿である。黒田東彦日銀総裁の進めるマイナス金利政策の影響を受けて、多くの銀行が減収減益となっている。
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この表から見えるもの
(1)当期純利益(1位~5位)
・1位は昨年2位だった福岡銀行で、前年比+42億円の267億円で、往年のポストを奪還。・2位は昨年1位となった西日本シティ銀行で、前年比▲136億円の111億円。昨年は株式などの売却益を145億円(前年比+125億円)計上したが、今期はわずか1億円だった。ちなみに福岡銀行の株式などの売却益は23億円(前年比18億円)となっている。
・表にはないが銀行の実力を示すコア業務純益を比較すると、福岡銀行の337億円に対して、西日本シティ銀行は165億円となっており、福岡銀行がほぼ倍ほど引き離している。
・3位は肥後銀行で前年比▲6,200万円の77億円(臨時損益+20億円)。
・4位は宮崎銀行で前年比+15億2,300万円の55億円(臨時損益13億円)。
・5位は鹿児島銀行で前年比▲14億8,500万円の54億(臨時損益▲13億)円となっている
◆3位~5位は臨時損益の多寡で順位が入れ替わっている。ただコア業務純益を比較すると、鹿児島銀行96億円、肥後銀行90億円、宮崎銀行63億円となっており、経営基盤の底堅さは鹿児島銀行が上回っている。
(2)当期純利益(6位~10位)
・6位は大分銀行で前年比▲17億4,700万円の47億円(▲26.7%)。・7位は親和銀行で前年比▲16億6,800万円の33億円▲33.2%)。ここまでが当期純益が30億円以上となっている。
・8位は十八銀行で前年比▲15億5,100万円の16億円(▲48.4%)と、ほぼ半減している。その要因は貸出金を前年比+2,088億円と大幅に増やしたことから、信用コストが16億円増加。また有価証券関連損益が▲3億円となったことによる。
・9位は佐賀銀行で前年比▲5億3,400万円の16億900万円(▲24.9%)。
・10位は北九州銀行で前年比▲3,300万円の15億7,500万円(▲2.1%)。減益幅が少なかったために順位は上げているが、収益状況は厳しくなってきているようだ。
(3) 当期純利益(11位~18位)
◆11位は熊本銀行で前年比▲14億5,800万円の11億5,600万円(前期比▲55.5%)と5割を超える減益となっている。不良債権処理額などの臨時損益が前期比▲28億2,900万円と大きく膨らんだことが要因となっている。・12位は豊和銀行で前年比5億1,700万円の10億300万円(106.4%)と倍増している。要因は貸倒引当金の戻入益などの臨時損益が4億4,900万円と増加したことによる。
・13位は宮崎太陽銀行(▲33.0%)。14位は南日本銀行(▲44.5%)。
・15位は佐賀共栄銀行。前年比+4,700万円の4億1,000万円(12.9%増)と、昨年の最下位から脱出している。
・16位は筑邦銀行(▲45.3%)。17位は福岡中央銀行(▲39.7%)で、いずれも前年比大幅なマイナスとなった。
・最下位の18位となった長崎銀行は、前年比▲3億200万円の8,800万円(▲77.4%)。何とか黒字を確保したというのが本音ではないだろうか。
まとめ
九州地銀18行のうち、企業の売上高に当たる経常収益が増加しているのは10行で、減収となっている銀行が8行となっている。また銀行収益の実態を示す経常利益が前期比増加している銀行は5行で、残り13行は減益となっており、厳しい経営状況となっていることがわかる。当期純利益が前期比増加している銀行は、福岡銀行、宮崎銀行、豊和銀行、佐賀共栄銀行の4行だけとなっている。
含み益のある銀行は当面の間、売却益を計上して黒字を維持することができるが、そうでない銀行は、いずれ赤字に転落する可能性が高いと推測される。(つづく)
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