2024年07月18日( 木 )

消費税増税とともに消える安倍内閣

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は消費税増税を実施すれば、日本経済は極めて深刻な不況に転落すると指摘した12月16日付の記事を紹介する。


安倍首相が2019年10月の消費税増税方針を維持しているが、延期を決断するなら遅きに失することのないようにするべきだ。
安倍内閣が消費税増税方針を維持するなら、安倍内閣は消費税とともに退場を迫られることになるだろう。「毒をもって毒を制する」ことになる。
この意味で、安倍政治に終止符を打つために消費税増税実施方針が残存することをやむなしとする見地がないとも言い切れないが、正当性が皆無の消費税増税は直ちに中止を決定するべきである。
安倍内閣の菅義偉官房長官は「リーマンショックのようなことがない限り実施する」と発言しており、消費税増税中止について含みを持たせている。

日本の株価推移はいま、まさにリーマンショック前の状況を示しており、安倍内閣はリーマンショックのようなことが現実化するのを期待しているのだとも受け止められる。
消費税増税を中止するべき理由が3つある。
第一は、消費税増税が国民の分配上の歪みをさらに拡大させること、
第二は、消費税増税が日本経済を不況に転落させる可能性が高いこと、
第三は、消費税増税が歳出構造の見直しを妨げる原因になること、
である。

安倍内閣の下で格差拡大が急激に進行している。大企業収益は史上最高を更新し続けているが、他方で、労働者1人当たりの実質賃金は大幅減少を続けている。雇用においては、非正規労働者の比率が上昇の一途を辿っている。
所得上位10%の人々の所得シェアが4割を超えて、日本は世界有数の格差大国に転じている。
この中で安倍内閣は「働かせ方改悪法」を強行制定し、一般労働者の就業環境は悪化の一途を辿っている。消費税と所得税の間には決定的な相違がある。
所得税が「能力に応じた課税」であるのに対して、消費税は「能力に応じない課税=能力に反する課税」である。
所得税の場合、条件によって当然異なるが、夫婦と子2人(大学生・高校生)で片働きの給与所得者なら、給与収入が354.5万円までは所得税負担が発生しない。これを「課税最低限」と呼ぶ。
上記の条件では、給与収入が350万円までの労働者は所得税納税が免除されている。
しかしながら消費税の場合は、所得がゼロの個人に対しても8%の税率が課せられる。しかも、生活必需品等の免税措置も存在しない。
他方、年収が10億円、100億円の個人に対しても、適用される税率はまったく同じ8%である。2019年10月の増税に際して複数税率が導入されることになっているが、生活必需品の税率はゼロでなく8%であり、これでは焼け石に水でしかない。
また、複数税率は、中小零細企業に重すぎる事務負担を強制するものでもある。消費税が導入された1989年度の税収と2016年度の税収を比較すると、消費税増税の目的が鮮明に浮かび上がる。国税収入規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円でほぼ同額である。変化したのは税収構成である。

※続きは12月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「消費税増税による最も深刻な日本財政問題残存」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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